第3話 再会

それから1ヶ月が過ぎ、私は尚貴君と友達から付き合う事にし、何も変わらない 日々。


友達としてのデートの繰り返しだった。




ある日のデートの別れ際 ―――



「尚貴君。尚貴君の部屋に行きたいけど良いかな?」


「えっ?別に良いけど」

「ありがとう」


「でも散らかってるかも」

「その時は私が片付けるよ」

「いやいや、それは流石に悪いし」

「良いよ。今日のお礼したくて手料理作ろうと思って」


「えっ!? マジ!?」

「うん」



私は尚貴君の部屋にお邪魔した。




「キッチン借りるね」

「ああ、うん」

「ねえ、兄弟二人暮らしとは思えない程、綺麗にしてるね」

「あー、弟が俺よりも整理整頓するから細かい事うるさくて」



ドカッ


「って!」

「悪かったな!うるさくて!」


「あっ、すみません、お邪魔してキッチン借りて…あっ!」


「…お前…」と、弟と思われる人。


「何?その二人の反応は?」と、尚貴君。


「いや…以前、携帯落として」と、弟。

「弟さんが拾ってくれて」と、私。


「あー、そういう事」

「つーか、お邪魔だったみたいで俺すぐ出掛けるわ」


「あっ!大丈夫です!私、料理作って、すぐに帰るので」



私は料理を作り続ける。



「良いよなぁ~。女の子のエプロン姿」



≪あん時は気付かなかったけど≫

≪すっげぇ好きだった女に似てんだけど≫



「なぁ、兄貴、彼女の名前は?」

「名前?麻淵 綾霞ちゃん。20歳」

「…マブチ…アヤカ…?」



≪同姓同名?≫



そして、料理を作り終える。



「お口に合うか分からないけど食べて下さい。後、おかわりもあるから」


「おいしーーーっ!」と、尚貴君。


「早っ!」と、弟さん。


「あの、弟さんもどうぞ」

「ああ、その前に弟さんじゃなくて恒河で良いし。つーか、あんた…」


「あーーーっ!」と、叫ぶ尚貴君。


「何だよ!」と、弟さん。


「お前、今、綾霞ちゃんに向かって、あんたって呼んだな!」


「あー、って、そこ?つーか、汚ねーよ!…あ、そうそう。俺とあん…綾霞ちゃんは同級だから敬語抜き」


「分かりました。あっ…」


「………………」


「後…」


「まだ、何かあるんですか?」

「ですかぁ?」

「あっ!」

「兄の弟だからとか特別扱いはよせ!俺、そういうの嫌いだから」


「そうなんですね」

「ですねぇ?」

「あっ!ごめんなさい!」

「なさい?」


「恒河、細かい事は気にするな!そのうち禿げるぞ!綾霞ちゃんも困ってるじゃん!」




ベシッ


弟さんは、尚貴君の頭を打つ。




「って!何すんだよ!」

「それじゃ、私はこれで失礼します。お邪魔しました。尚貴君、またね」

「バイバイ、綾霞ちゃん」


「バイバイじゃなくて送ってやれよ!兄貴の女だろう!?と・も・だ・ち・だ・け・ど」




ドカッ

弟に蹴る尚貴君。



「痛ってな!」

「良いだろう!?お前みたいにモテてるのと訳が違うんだよ!」

「あーー、そうですかーーっ!」


「お前も彼女の一人や二人、つくれよなっ!」

「二人もいらねーよ!バーカ!つーか、人の恋愛に口出すなっ!」



二人は言い争う。



「………………」



私は部屋を出て行き始める。



バタン


ドアを閉め部屋を後に帰って行く。



「あっ!綾霞ちゃんがっ!」

「知るかよ!関係ねーし。大体、兄貴の……」



兄貴は俺に両手を合わせて、俺に行くようにお願いした。



「あー、もうっ!ふざけんなしっ!」



俺は彼女の後を追った。



「綾霞ちゃん!」

「きゃあっ!えっ?恒河君!?」

「悪い兄貴が送ろうとしなくて、俺で良かったら送る」


「大丈夫だよ」

「いや、多分、兄貴に怒られるから。それに送るように言われたし」


「そっか」


「今日は車じゃないんだ」

「えっ?あ、うん」

「だったら尚更送るべきだろう?本当、無責任な兄貴」


「友達だから」

「やっぱ、そこ?」

「えっ?」

「友達だからって」



私はクスクス笑い



「うん、そうだね。でも事実だし。まあ、恋人なら送ってもらった方が良いけど、そういう段階でもないし」


「俺なら友達でも送るけど。好きだからゆっくり付き合ってる事だってある訳だし。何かあったら嫌じゃん!つーか、普通に話せんじゃん!」


「えっ?」


「さっき敬語だったし」


「あー、緊張していたから意識して敬語になっていた感じ?」


「あー、そういう事。ちなみに綾霞ちゃん仕事してんの?」


「ううん学生だよ」

「兄貴とは、どうやって?」

「友達に誘われて合コン」

「合コン?社会人と学生っていう接点ない気もするけど」


「言われてみればそうだね。私は誘われただけだし友達の誰かが社会人と付き合っている人達の集まりだったのかも。恒河君は学生?」


「学生」




私達は色々と話をしながら、私は送って貰うのだった。






二人の出逢いは


再会へと変わり


奇妙な偶然と


奇跡が起こる



























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