第2話 出逢い

「へぇー、付き合ってみれば良いのに」



お姉ちゃんに、尚貴の話をした。



「ゆっくりでもって言われたんだけど、まだそういう関係には縛られたくなくて…」


「でも相手は気があるんでしょう?」


「うん…そんな感じだった。でも、初めて会ったのに付き合うって展開早すぎない?」


「一目惚れでもされたんじゃない?」


「えっ?」


「まあ、あなたの事だし自分に正直になりなさい」


「うん」



そんなある日の事。



「どうぞあがって」

「あ、はい」




私は尚貴君の部屋に呼ばれた。


どうやら弟と二人暮らししているみたいだけど





「弟さん、いくつなの?」


「弟?20歳」


「えっ?」


「あっ!綾霞ちゃんと同級生だね」

「そうか」

「そういえば綾霞ちゃんには、お姉さんいるんだよね?」


「うん。25歳。良い年して、まだ独身なんだ」

「そうか」

「お姉ちゃんも学生の時モテてたらしいけど」

「じゃあ姉妹は学校のマドンナ的存在だったんだろうね」



その日の夜。



「それじゃ帰ります」

「あー、うん。また」




私達は別れた。




エレベーター待ち。


エレベーターが到着。



私は携帯を弄りながらエレベーターに乗り込もうとした時だった。




ドンッ カラーン


エレベーターから降りて来る人にぶつかり、同時に携帯が廊下に落ちた。



「きゃあっ!すみません!」と、私。

「うわっ!すみません!」と、男の人の声。



二人同時の声。



「大丈夫ですか?」と、私。

「あっ、はい。あの、そちらの方は?」

「はい、大丈夫です」



そしてエレベーターに乗ろうとした時、扉が閉まりかけ、私は慌てて乗り始めた時、扉が閉まり挟まってしまった。



ガコン



「…ったあ!」


「………………」


「…ダッサ…」



私に聞こえるか聞こえないかの声で男の人は言った。


私は恥ずかしながらエレベーターに乗り込む。


そんな中、男の人の携帯が鳴り、男の人は携帯に出た。




「もしもし?あー、今、エレベーターから降りたからもう少しで帰る」



携帯を切った直後、電話の着信音が鳴り響いた。

俺は辺りを見渡すと、廊下に転がっている携帯に気付いた。


「あれ…?これか?つーか誰のだ?」



俺は記憶を辿った。



「もしかして…今の子?」



お互い携帯片手に弄っていた為、エレベーター前でぶつかった。


その時に、落としたと思われる。




一方、その頃。


車のキーを取り出し携帯を取り出そうとしバックをゴソゴソする。



「あれ?携帯…私…バック……」



私は焦りから記憶を辿るも全く思い出せない。




「どうしよう?」



その時だ



車の窓を叩かれた。


振り向く視線の先には、男の人の姿。



「はい?」


「良かった!間にあった!これ……もしかしてあんたの?違います?」

「あっ!私の携帯!良かったぁ~。今、探していた所で助かりました」

「じゃあ、渡したから」

「すみません。ありがとうございます」




私達は別れた。





1つの出逢い


これが


私達の運命を狂わす






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