第4話種族進化
俺が異世界に転生して1ヶ月、主に初級のスライムやスパイダーを倒してレベリングをしていた。そのおかげでレベルが20まで上がり奴隷全員のレベルが12になった。スキルもフェドラが氷魔法を取得し、シズが短剣のレベルをなんと7まで上げ、リサが打撃の代わりに弓使いのスキルを取得。
俺はと言うとまず奴隷が使っているスキルを全部同じレベルまで、炎耐性レベル5、回復魔法レベル3、炎魔法レベル5、氷魔法レベル6まで上げた。
最近では短剣のレベルを8に上げスライムなどMPを使うのがもったいない時には剣で対処している。
レベル20と言うのはこの世界の冒険者の平均レベルと言っていたので、これからが本番という訳だ。
もし仮に、化け物と言われている魔王と戦うのであればレベルが最低60はいると防具屋に言われた。
あ、言っておくとこの前の防具屋の店主は他の町に逃げたらしいのできちんと殺しておいた。
罪悪感?そんなものは一切ない。なんたって嘘の情報を突きつけられて命を取られそうになったのはこっちだからだ。殺したところで問題はない。
それに俺にとってあいつを殺したのはいいことでもあった。新しい最新最高級の防具やポーションをすべて頂けたからだ。そのおかげでポーションを買う必要がほとんどなく、金に関しても使わない防具をすべて売ったので金貨20枚もの資金を手に入れた。
今日はとある島に種族進化をしに行く。
種族進化...厨二心がくすぐられる響きだ。
種族進化というのは例えばゴブリンがホブゴブリンに進化したりすることだ。
俺は奴隷達だけ種族進化をする事にした。
島までは船を使うことにする。
「ボオーーー」
と船が汽笛を鳴らして進む。一ヶ月この世界で暮らしわかったことだが、この世界もある程度の化学は発展している様で蒸気機関車などはある。とはいえ、流石に電気やスマホはない。いつか誰かが発明してくれることを信じるしかない。
乗る人のほとんどが冒険者だが奴隷を使っていそうな冒険者は全くいない。何故冒険者がほとんどかと言うと今から行く島は街などはなく本当にレベリングや種族進化のためだけにあるような場所だからだ。種族進化をする場所は森の奥にある様でレベルアップも兼ねて森に入る事にした。
「降りるぞお前ら」
俺は自分の肩に乗っているフェドラと一緒に船を俺た。フェドラが肩に乗ることを許している理由は単純に奴隷との信頼関係を築いて、刻印を使わずに命令するためだ。刻印を使うと奴隷に少なからずダメージが入るからだ。俺は船から出た後入島届けをだして森に入った。森の中からは魔物の声が響き渡り緊張感が高まる。
「ガサッ」と後ろの草陰から音が聞こえ振り返る。キツネの様な赤い魔物のが現れる。
小型とはいえ魔物は魔物、どんな攻撃を仕掛けてくるか判った物じゃない。
「シズ、リサ攻撃しろ。フェドラは氷魔法で援護しろ!」
「わ、わかりました!」
と言う声とともにリサが弓矢を放つ。しかし、当たったはずなのにまるで壊れたコンピュータの画面の様に「ザザッ」と音を立てて消える。
そう思った瞬間シズの後ろに突然現れ炎を吐いてくる。
「キャッ」
とシズが声を上げて吹き飛ばされたがフェドラがキツネを氷魔法で凍らせていた。すると氷が崩れていき、あとにはキツネが凍った形跡はない。
「どういう事だ?」
そう言った矢先、俺の後ろから二匹のキツネが飛びついて来る。一匹はリサの矢でもう一匹はフェドラの氷で攻撃したがまたもや消える。
恐らくこれは幻影系魔法の類なのだろう。
俺は本体を探そうとする。さきほどシズが吹き飛んだ攻撃は絶対に本体しか出来ない。
「フェドラ森を炎で焼き払えっ今すぐにだ。」
俺は炎でキツネを炙り出すことにした。さっきの攻撃から見てそう遠くには言ってないはずだ。
「クォォォーーン」
と鳴き声がして本体らしきキツネが現れ、ジリジリと近づいてくる。
その瞬間、キツネが俺の目の前に瞬間移動をして俺にのしかかって来た。俺は必死になって腰の短剣を引き抜きキツネにむかって斬りつける。だがすぐに瞬間移動されてかわされた。相当な能力を持っていることが感じられた。
俺は炎魔法を打ち込みわざと攻撃をかわされてジャンプした所に集中放火をした。だがこれまでの攻撃でパターンを読んだ俺は次は後ろに来ると予想して、後ろに氷魔法で攻撃を仕掛けた。放たれた結晶状の礫は見事に当たりキツネは吹き飛ぶ。
一安心した俺が短剣でトドメを刺そうと近づく。
その時だった。
「ピュン」と何かが飛んできてキツネの背に当たりトドメを刺した。それは矢のようだがこの矢はリサのものでも俺のものでもない。間違いなく、他の冒険者のものだった。
「誰だ?」
俺は周囲を見渡したが人影どころか魔物のさえいない。
「ありがとぉ。私のレベルアップに協力してくれて。」
その女の声が聞こえて来たのは上だ。
姿を現した女が木の上から降りて来た。
今の行為はいわゆるキルパクだった。倒しにくい相手を自分ではなく他人に限界まで消耗させ、最後の美味しい所をもらっていくという悪質な行為だ。
そうはいっても斬りかかるわけにもいかなかい。
理由は彼女の弓矢、町では見たこともない。そして首にかけているペンダントは超上級冒険者にのみ与えられるものだ。普通に考えてとんでもない格上だ。
だが俺は気に食わない奴はトコトン殺していく派。見過ごすわけにはいかなかった。
「おい、誰だ」
俺は女に問いかける。
まぁ誰であっても殺すけどな...
「私の名はクレイス、あなたの様に間抜けな奴の獲物を横取りするのが趣味。」
......
絶対殺す。俺はそう決意して短剣を握った。
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