第2話 学校行事

 中二になってから二カ月が経った。

僕は体育の授業でみんなの期待以上に活躍したり、授業中に稀に発言した「ボケ」がクラスにハマったりした。

そんなこともあり、僕はクラスメイトから”うるさくないタイプの面白い人”と認識されるようになり、楽しい学生生活を送っていた。


 そんな時だった。

音楽の授業で、音楽の先生がこう言った。

「七月一日に本校の学校行事である”合唱コンクール”があります。

みなさん、この中から歌いたい曲を選んでください!一番希望が多かった曲をこのクラスで歌うことにしましょう! 

まずは先ほど配ったプリントに記載されている合唱候補曲を、聞いてください。

それでは順番に流していきます。」

配られたプリントに目を下すと、混声三部合唱で歌う合唱曲が羅列されていた。

                  ♪♪♪

                  ♪♪♪

                  ♪♪♪

プリントに記載されていた合唱曲を聴き終えた僕は正直どれもよく分からなかったので、適当に曲を選んだ。

その結果クラスで歌いたいという声が多かった「君と見た海」に決まった。

本日から七月一日の合唱コンクール本番に向けて、クラスで練習していく日々が始まった。


 担任の前川のご厚意で前川の授業を使って、合唱コンクールに向けて、指揮者、伴奏者、クラスをまとめ上げる合唱リーダーを決めることとなった。

指揮者は、クラスで最も明るい女子に決まり、合唱リーダーは、僕と仲がいい明るい野球少年の男子、伴奏者は僕が密かに恋心を寄せていた彩香ちゃんになった。

 合唱は背の順で横三列に並んで行うため、練習も横三列になって行った。

良いものを作ろうということで、合唱の練習も毎日することになった。

そのため、音楽の授業時間外の放課後にも練習が及ぶこともしばしばあった。

そんな膨大な練習量に嫌気が差し、グレて練習をさぼる男子も出てきた。

当の僕もよくわからない歌を歌うことになったので、初めはあまり乗り気ではなかったが、次第に練習が楽しみになっていった。

 なぜなら、僕らの前で伴奏している彩香ちゃんを練習の度に堂々と見ることが出来るからである。

練習が始まってから一週間程が経過したころ、日々の練習に飽きが来たのか、みんながだらだらと練習するようになった。

それを見て伴奏の彩香ちゃん、合唱リーダー、指揮者は辟易としていた。

彩香ちゃんを困らせたくなかった僕は、クラスをまとめる合唱リーダーの役目を買って出た。


「みんな!練習したいから早く整列して!」だらだらと整列しているクラスメイトに向かって突然僕は大声で言った。言ったというより出てしまった。

彩香ちゃんの困った顔を見たくない一心で。

なんのリーダーでもなく、普段滅多に発言しない僕が突然言ったものだから、周りが笑った。

「笑われるのも無理はないな...」と僕は心の中で思った。

しかし、笑いが起こった後、クラスのみんなが整列を始めた。


僕はその光景を目の当たりにした時、すごく嬉しかった。

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