最後の合唱コンクール

よう

第1話 中二

 よく晴れたその日、外では満開の桜にとまった真っ黒な鴉が鳴いていた。


「早く起きなさい、友達もう迎えに来てるわよ!

今日から中学二年生になるのに、いつまで親に起こされてるのよ!情けない......」

そう言って僕をたたき起こすのは実の母であった。

本日の日付はは四月一日、僕は晴れて中学二年生となった。


 僕は気だるげにいつも迎えに来てくれる友達と学校に向かった。

新たな教室に入り、自分の席であろう場所に座った、ここで合っているのかは分からないし、聞く勇気もあいにく持ち合わせていない。

ガラガラガラ…ピシャッ 

「おはようみんな!」

そう言ってクラスに入ってきた四十五歳ほどの男はキラキラした目をして入ってきた。

そう、言うまでもない この男こそ僕のクラスの担任 前川だ。

反抗期真っ盛りの僕の心は荒んでいた。そのため乾いた面構えで担任を見てこう思った。

「まためんどくさくなりそうだな・・・」


前川は生徒をぐるりと見渡し、溌溂とした声で言った。

「さぁ、まずは自己紹介だな...」


前川は、めんどくさそうに話を聞いていた僕を指さすと、若干の怒り口調で言った。

「まずはお前からだ、前に来い!」

前川に呼ばれた僕は、教団の前に行きながら心の中でこう思った。

「やれやれ、また目をつけられたか...でも、自己紹介で笑いを取って良いスタートを切ってやるか!」

教団の前の立った僕は、

「よ、よろしく...お、お願いします...」と、表に出るのが苦手である僕は、内面とは裏腹に震えた口調で自己紹介をこぼした。

クスクスと女子が笑う。

僕は内心「うるせぇよ、笑ってんじゃねぇよ...」と思い、自分の席で”あろう”場所に戻った。

その後もクラスメイトの自己紹介が次々に行われていたが、僕は自分の自己紹介がうまくいかなかったこともあり、不貞腐れてしまい耳を傾けなかった。


そんなこんなで、僕の中学2年生初日は、クラス内で少々悪い印象を与えて終わってしまった。


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