38.ちゃんと待っててくれた。
式の翌日、スイートルームをチェックアウトしたその足で、準備しておいた
新居は
「んー。まあ、あたしとしちゃ姫さまとのあれこれも聞き出したかったけど、ヒカっちがそう言うなら、後の楽しみにしておくわ。ヘナチョコもこれに
「おまえの丸投げも原因の半分なんだぞ!
「聞こえないわー」
満面の笑顔でシフォンケーキを食べる
「それにしても……思い出したら、
「しているぞ」
リビングのすみ、
「旧世界が熱的な死、
「……いや、ちょっとわかんない。ミツヒデ、あんた、どんな本読んでんのよ?」
「エントロピーだね。お料理は放っておくと冷めて、あっため直すには、もっと熱い火や電気から熱を持ってくる、ってことだよ、
「生命や
「そうだ。生命が
通気弁は方向性を持ち、熱は、一方からもう一方に移動する。冷える方の過程が、物質世界であり、生命活動だ。生まれ変わり、容器内の
容器内の
「え……じゃあ、本当に……?」
青ざめたアシャスに、ミツヒデが、愉快そうに
「
「そう言われても、あの女神さまのすることだからなあ……」
アシャスのぼやきは、
「でも、そうか……みんな、いるんだな。ここに」
アシャスは窓の外の空を見て、隣に座るヒカロアを見た。
「おまえの言う通りだった。みんな、ここで、ちゃんと待っててくれた。ありがとう……俺は、幸せだ」
アシャスを見て、ヒカロアが
アシャスも
「えー。こほん。なんかもう、このままエンディングに突入しても良いような
「な、なんだよ? 急に、変な口調で」
ミツヒデはミツヒデで、もう
「なんだよ、じゃないわよ。あんたもめでたく
「
「もちろん、いろんな都合で毎晩きっちりってわけにもいかないから、そこは臨機応変に相談するとかさ」
「なるほど。重要かつ、緊急の議題ですね。私に異存はありませんが、アシャスはいかがです?」
「お、お、俺に聞くなよ! 答えられないよ!」
「それじゃあ、決まりですね。ヒカロアさん、ぼくも
「
アシャスの顔が、
四人の二人芝居もだいぶこなれて、合意形成の流れがスムーズだ。アシャスとしても、もうふくれっ
ちょうどその時、婚約指輪を買った宝石店から
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