番外之幕 大魔界?
36.我が救世主。
昼なお暗く、夜なお
晴天を映したような青い瞳と、日に焼けた浅黒い肌、短いくせ毛の金髪が風になぶられている。
剣を振る全身の動きを妨げないことと、敵味方に存在を誇示することが大事だった。今やアシャスは、人間界の統一意志として連合軍を
「この城もそうだけど……魔界の土地や森なんかも、人間界と、あんまり変わらないんだな」
地平を見渡す城は、
アシャスは背が高い方ではないが、それにしても隣の男は、アシャスより頭一つ以上も高い長身だった。
青白い肌に、
高度な知性と魔法の力を持ち、魔物の中でも支配的な地位にある、吸血鬼という種族だ。
「その通りです、
「救世主はやめろよ、伯爵。アシャスで良いよ」
アシャスは苦笑して、左腰に
大ぶりで、深く沈むような銀色の
この底知れない存在に
だが、こうして誰かと話していると、ふと恥ずかしくもなる。自分では、田舎者の子供だった頃と、そんなに変わった気はしていなかった。
アシャスの内心を知ってか知らずか、伯爵と呼ばれた吸血鬼は、親しげな笑みを満面に浮かべた。
「ではアシャスさま。わたくしめのことも伯爵などと
「長いよ! リシェントだ! それで良いだろ!」
「光栄にございます、アシャスさま」
伯爵改め、リシェントが
魔界は、はるか天空にとどく
創造の女神によって魔法の根源を封じられた土地で、その影響を受けて
魔法の力を強く身に宿した個体は、その
リシェントは、その人間界と魔界を
「この魔界……暗黒大陸の奥深くに、魔王ワスティスヴェントスの
「王さまがたくさんいるのか。適当だな」
アシャスの冗談に、リシェントも苦笑した。
魔法で人語に変換しているが、多分、魔物同士の呼称には、細かい意味の違いがあるのだろう。人間だって大公と王と皇帝で規模が違うのだから、お互いさまだ。
「リシェントは、そいつらを知ってるのか?」
アシャスの軽い調子に、リシェントの表情は、張りついたように変わらなかった。アシャスは気にしなかった。
リシェントが自己の野心、打算、保身、計略、それらの帰結として魔王ワスティスヴェントスから
視線を少し下に向ければ、リシェントの城の内外には、
人間界にも、魔法使いはいる。
アシャスと旅をした仲間にもいるし、少人数で
リシェントの立ち回りは、ある意味で人間的で、理解し易い。
だが、どこまでが真実で、どこからが
確定情報を聞き出そうなどと、考えてはいない。どうせ戦いになれば、予想を超える事態が重なるのだ。アシャスにしてみれば、世間話の
アシャスの横で、リシェントが、アシャスと同じ方向を見た。
「
「そうか。魔物の世界も、いろいろと面倒くさそうだな」
アシャスは肩をすくめて、眼下の
「リシェント、あいつが見えるか? 暑苦しい飾り
「はい。あの
「あいつはおまえと同じだよ。
リシェントの目が、
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