だって私は貴方がチョコレートを破棄する所を見ていたんだからっ!!!!

一ノ瀬 彩音

第1話 チョコ

ユリレシア国では今日が特別な日です。


特別な日と言うのは女性が男性にある物を渡すという日です。


ある物とはチョコレートなのですが

本命の人にはごく普通のチョコレートを渡して

本命じゃない人には弱性毒入りのチョコレートを渡すと言うのです。


そこで聖女マリレイナ22歳は本命の人にチョコレートを渡す為に

ある場所で待っているのでして、ある場所とはアイレイス公園で

待ち合わせをしているのです。


今日は雲一つなくて晴天で風も強くなく心地が良い風です。


そんな中でマリレイナは本命の人にチョコレートを渡す為に

アイレイス公園に居るもチョコレートを渡そうとしている人は

未だに現れないのです。


マリレイナは心の中でもしかして忘れているのかなって

思っているのですが、そこに待ち合わせしている人が

やっと来てくれたのです。


待ち合わせしていた人物とはナシャクロ・ガードイ公爵令息22歳です。


「すまないな、待たせてしまったかな?」

「いいえっ、私も来たばかりなので待っていませんよ」

「そうか」

「早速なのですが……渡したい物があるのです」

「何だろうな、渡したい物って」

「はい、これです」

そう言いながら差し出されたのは綺麗な包に包まれている物です。


「何かな、これは?」

「開けて見て下さい」

「そうしようかな」

そう言いながらナシャクロは差し出された物を受け取り

その場で開けるとそこにはチョコレートがあるのです。


「ほぅ、チョコレートか、これは弱性毒入りか?」

「いいえっ、違います、普通のチョコレートです」

「なら食べるかな」

そう呟くとナシャクロはチョコレートを1つ食べると

モグモグと食べているのでして、食べ終わると

「美味しいな、どんな材料を使った?」

「知りたいですか?」

「ぜひ知りたいな」

そう言うとマリレイナはニコニコしながら

「使った材料はチョコ、私の血、私の○○だけですよ」

そう言うのです。


マリレイナから使った材料を聞いたナシャクロは

驚いている顔をしながら

「そんなものを使ったのか、あは、あはは、あはははは」

ナシャクロは苦笑いをしているのです。


「しっかりと全部食べて下さいね」

「あぁっ、全部食べるよ」

「それと貴方の事が大好きなので恋人になって下さいっ!!!」

そう言われるとナシャクロは頷くのです。


こうして晴れて恋人同士となったマリレイナとナシャクロは

このまま幸せという道を進むのかなって思っているのですが

そうもいかないようです。


マリレイナとナシャクロはアイレイス公園の中を二人で歩いていると

急にナシャクロがこう言うのです。


「悪い、お手洗いに行って来るよ、待っててくれよな」

「はい、気を付けてね」

そう呟かれるとナシャクロは駆け足でお手洗いに行くのです。


ナシャクロはお手洗いに着くとまだ残っているチョコを破棄したのです。


破棄した事でマリレイナの気持ちを台無しにするような感じでして、

本当にこれで良かったのかなって思いますがナシャクロは後悔してないのです。


ナシャクロは暫くしてマリレイナの所へと戻ると

「待たせたな、ただいま」

「お帰りなさい、ナシャクロ」

「じゃあ俺は帰るな」

「帰るの?」

「こう見えて忙しい身だからな」

「そっか、しょうがないね」

「そう言う事だからじゃあな」

そう呟きながらナシャクロは背を向けて立ち去ろうとしている時に、

マリレイナはナシャクロの事を呼び止めるのです。


「どうした?」

「ねぇ、チョコレートはどうしたの?」

「あぁっ、お手洗いに行った際、全部食べたよ」

「本当ですか?」

「本当だよ、恋人である俺の事を疑っているのか?」

「はい」

「何故疑う?」

「だって私は貴方がチョコレートを破棄する所を見ていたんだからっ!!!!」

「…………」

ナシャクロは急に寒気が来るような感覚に見舞われて

身体が冷えてくるとそのまま背を向けて

駆け足でアイレイス公園から出て行き、立ち去って行くと

マリレイナもナシャクロの事を駆け足で追いかけているのです。


「ぐぉぉおおおおっ、何故追いかけて来るんだぁぁああああっ!!!」

そう叫びながらナシャクロは走って逃げているのです。


「待ちなさいっ!!!! 私の気持ちを踏みにじって許さないっ!!

絶対に許さないからっ!!!」

そう叫びながら追いかけているマリレイナはトラップの魔法陣を

ナシャクロが走っている前方に仕掛けるのです。


ナシャクロは偶然にもトラップの魔法陣を踏むと

発動していて、空から大きな岩が落ちてくると空を見上げながら

「ぬぉぉおおおおっ、死ぬ、死ぬ、死んでたまるかぁぁぁああぁああっ!!!」

そう絶叫しながら走り続けているナシャクロです。


「ちっ、上手く回避したようね、中々やるじゃない」

そう呟きながら必死に走って追いかけているマリレイナです。


暫くして一足先にマリレイナの体力が底を尽きると足が止まって

息が上がっているのですから、マリレイナ自身は休憩しているのです。


少し離れた所ではナシャクロも息が上がっていて、

今は休憩し、深呼吸をして息を整えているのです。


『それにしても中々捕まえる事が出来ないわね、

本当にどうしようかな』

そう思っているマリレイナはナシャクロとは恋人ですが、

それでも許せる行為と許せない行為があるのです。


その後、二人による恋人の愛劇が続いたのですが

結局、ナシャクロがマリレイナに謝罪し、

しっかりと埋め合わせをするという形です。


更にはナシャクロがマリレイナの事を溺愛すると

マリレイナは嬉しそうにしていて、マリレイナはお返しに

キスしてあげるのです。


二人は本当に仲睦まじい関係で恋人として

仲良くやっているのでした。

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だって私は貴方がチョコレートを破棄する所を見ていたんだからっ!!!! 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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