第6章 歓迎パーティーという名の結合式

その日の放課後はちょうど、チアがジョックスを歓迎するためのパーティーの日だった。

校内カーストの決まりで、チアがジョックスと結ばれるために、チア部室でジョックスの歓迎パーティーが開かれるのである。


チア部の部員たちはこの日は部活を休み、部室の飾り付けやパーティーの司会進行などの打ち合わせを行う。重要な行事である。

準備が終わったら、さながら結婚式のごとく、チアとジョックスは部室に招かれ、誓いのキスと交尾を行えるように手配が整えられている。


チア部員A「貞子様、用意できました!」

貞子「どれ…うん、すばらしい鋼鉄のベッドね!」


儀式の最後である交尾はベッドの上で行われるのだが、貞子の体重ではたいていのベッドは壊れてしまう。

それでこの日のために、特注で鋼鉄製のベッドを用意させたのだった。


貞子「これで遠慮なく上からジョックスとガンガンやれるというわけね!」

チア部員A「貞子様!交尾では女は下ですよ!下!」

貞子「あら、そうなの?わたくし、とても清純で可憐で純情な淑女なものですから、そちらの知識は乏しくて、ブォほほ…」

チア部員A(いくら屈強な肉体を持つジョックスでも、貞子様の体重には到底耐えられない。貞子様が上になったらジョックスが本当に圧死してしまう…チア部が原因で死人が出るのはごめんだわ)


ようやく歓迎パーティーの準備が整ったところで、ジョックス入場の時間となった。


だがジョックスは来ない。


貞子「ジョックスはまだかしら?」

伽耶子「私、見てきます」

貞子「お願い」


だが10分、20分たっても伽耶子は戻ってこない。ジョックスも現れない。何かあったのだろうか。

ようやく伽耶子が部室に戻ってきたとき、伽耶子はひどくあせっているように見えた。


伽耶子「さ、貞子様!大変です、こんなものがチア部室の私書箱に!」

貞子「なんですの?これは…」


それは1枚の紙だった。頼子が著名した果たし状だった。


貞子は果たし状を読んだ。見る見る貞子の表情が変わっていく。チア部員たちは不穏な表情をしていた。伽耶子は息を呑んでいた。

果たし状を読み終えた貞子は、低い声で静かに言った。


貞子「皆さん…わたくしを一人にしてくださる?」

チア部員A「え?どうしたんですか、貞子様?その紙には何が書いて…」


伽耶子は大声で叫んだ。


伽耶子「全員部室を出ろ!今すぐだ!貞子様の命令が聞けないのか!」


チア部員たちは部室を出た。

しばらくして、部室の中から恐竜の咆哮のようなものが響き渡るのが聞こえた。


貞子「引きちぎってやるゥ!!八つ裂きにしてくれるワァ!!頼子ォォ!!頼子はどこだァ!!」


部室が激しく揺れていた。ガラスが割れ、机が割れ、壁が破壊され、柱が折れる音がした。

チア部員たちは、貞子のかつてない激しい怒りように、ただただおびえていた。


伽耶子「部室の修理費、高くつくわね…」


最後の一瞬、まるで部屋の中で爆弾が爆発したかのような音がした。その後、チア部全員のスマホにメッセージが入った。貞子からだった。


「明日の放課後、全員、天上橋の下に集合」

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