数多なる悪霊 レギオン その5


そう言いながらハイラントの祖たる預言者は攻撃を仕掛ける操られているマキシムとジョナサンセプター オブ バーレで薙ぎ払い、聖典の一節を読み上げ始める。


『邪悪な者!神に逆らいし傲慢で強欲なる者!淫行に耽る愚かなる者よ!神は望まれた!天よりの裁きを身に受けよと!』


神罰の雷がぼろぼろの天井を突き抜け、大きな落雷音と共にレギオン達に炸裂する。


『『『ウォオオォォ!』』』


流石に神の神罰故か、レギオンに効いている...それ以上に操られていたマキシムとジョナサンもかなりのダメージを受けているみたいではあるが。


「ちょっと!二人は仲間ですよ!」


『大丈夫だよ、神の奇跡をを信じなよ?こっちの二人はだからね』


良く見れば、倒れている二人の黒い影は引き剥がされ元の姿に戻っている。


「その容赦の無さ...恐ろしい凶悪さですね、貴女」


可愛らしいバレンティナの身体に姉エステル以上の凶悪極まりない性格が憑依しており、何とも薄寒いなとディビッドは思う。


『えー人の事は言えないんじゃ無い?』


とニヤリと返して来るが、ディビッドとしては解せない...


「まぁさっさとレギオンを祓って終わらせましょうか」


とエクソダス1922を構えると形状が変化し、愛用の銃は銀色に光るショットガンへ変わる。


ただいつもと違い、更に力が湧き上がる感覚を覚える、そしてそれと同時に勝利を確信する。


するとディビッド自身の身体が熱くなり、光り輝き始め、姿が変化する。


瞳は真っ赤な炎の様で、髪の色は輝く真っ白な雪の様にに変わり、更に着ている司祭服すら亜麻布よりも白くなる。


「これは...」


ディビッドは自身の姿が変わるのを理解する、まるで神罰である裁きの鉄槌で現れるサンソンの様だと思う。


その姿はハイラントと共に現れる四騎士の一人である『白の射手』と呼ぶに相応しい。


『『『ヒィィ...彼の神の威光が...』』』


『『『底知れぬ淵に向かいたくない...』』』


レギオンはその輝くディビッドの姿に恐れ慄き、後退る様に影が下がる。


『その姿素晴らしいね...さぁ『白の射手』、神の権威を持って数多なる悪霊レギオンを打ち払え!』


ハイラントの祖たる預言者はディビッドにそう言うと、ディビッドは頷く。


そして銀色に輝くエクソダス1922を向ける。


『我が名は白の射手!我は勝利の上に勝利を得る者也!』


ディビッドは引き金を弾くと、強い光の弾丸がレギオンを撃ち抜く。


『穢れし悪霊共よ!神の権威より貴様等に命じる!』


ディビッドの攻撃にレギオンは黒い影の形からバラバラになる。


『貴様等はこれより人に取り憑く事は二度と無い!この場より離れ去り散り散りとなり豚にでも取り憑くがいい!』


ディビッドのその言葉にレギオンは人に取り憑く事が出来ない事に悲鳴を上げる。


そう、神の権威によりこれから先レギオンは人に取り憑く事ができない存在となったが故、それを悲しむ...何故なら取り憑き残虐な事をする事がレギオンにとっての快楽だからだ。


『『『ギャアアア!』』』


レギオンは断末魔を上げながら、沢山の小さい黒い影の姿となり大きな風を起こしながら勢いよく天井から全て出て行く姿をディビッド達はじっと見るのだった。

──────────────────

※奴の更なるパワーアップ回

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る