数多なる悪霊 レギオン その4

最後にふと思い浮かべる顔...愛しいバレンティナの顔を。


笑顔は勿論、怒った顔も、困った顔も、恥ずかしがる顔も愛し合う時の蕩ける様な顔も...そして優しく微笑んでくれる顔を。


最後...バレンティナに逢いたい、と思ったその時に自身の周辺に変化が起こる。


周囲に光の翼で覆われる...防御の奇跡である『護りの双翼』だ。


そのおかげでマキシムの攻撃は跳ね返され、ディビッドは護られる。


『諦めないで!』


振り向くとそこには愛おしいバレンティナの姿。


ただいつもと違って長いミントグリーンの髪は緩く三つ編みにしており、着ているものが、エステルの着ていた白と青のローブで片手には『セプター オブ バーレ』がある。


ローブは姉のサイズの為か、ややぶかぶかとしているし腕まくりもしている、しかし何処か似合っているのは所為だろう。


『さぁ...回復してあげる『白の射手』立ち上がるんだ!』


「貴女...またティナの身体を」


正体を察する、エルコラーロの際に夢などで出てきた、12番目の預言者、ハイラントの祖となる女性だ。


どうにもディビッドはバレンティナが操られている様で嫌な気持ちになるのか、顔を顰める。


『そんな嫌な顔をしないで?君の大好きな花嫁の祈りが神に聞き届けられたんだ』


「祈りを?」


『そう、だからが選ばれた、さぁもう大丈夫...レギオンを、滅ぼす事はできないからね』


ディビッドの身体を回復させると、セプター オブ バーレをレギオンに構えて不敵な笑みを浮かべる、何処かディビッドの笑い方に似ているのは、ディビッドの祖先故なのか。


『さぁ!私は『運命を打ち砕く者』にして『ハイラントの祖』!私の子供達を泣かせる貴様を許しはしない!』


そう言った瞬間、操られているジョナサンが襲いかかるが、セプター オブ バーレで簡単に薙ぎ払う。


『君らは私が相手するよ、『白の射手』はレギオンを...倒すんじゃ無い、祓うんだ』


「祓うってどうやるんです」


『群れてる連中ってのはさ、個々が弱いから群れるんだ、通常の悪魔と違って確固たる自信が無い、だからを持って威圧してやればいい』


「威圧???」


ディビッドは首を傾げるが、ニヤっと笑いながら指をさす。


『やだなぁ、君は神より選ばれし『白の射手』じゃないか』

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