それは貴方の責務では無い その3

「そうよ...みんなディブの為に死ぬ覚悟を持っているの...そしてティナちゃん...貴女も同じ」


「え」


私も守られる存在???


「ディブにとってティナちゃん以外を娶る事が出来ない以上はティナちゃんも同じ程守られるべき存在なのよ?近い内に呪いの影響を受けなくなれば神からの保護が生じるだろうけども、今はどうしても狙われやすいから...どんなに守ろうと努力してもね」


「?」


確かに2度も攫われたりとかあったけど...そうなのかしら?


「実はディブと出会って以降ずっと遠くからティナちゃん貴女を守る為に人をつけてたのよ、でもそれを全て邪悪なモノ...リュシフェル達によって妨害されて危険に晒されてしまう、きっとこれも因果なのかもしれない」


「ええ?」


って私守られてたの?異端審問官の人や顔を見せない使用人の方がいるけど、その人達がかしら...全く気づかなかったわ!


「因果とは?」


お兄様がその言葉に首を傾げるわ。


「物事には原因があってその結果が生じる事...それはティナちゃんの家族がトラウゴット教から離れてしまったが故に、生贄の娘は保護を受けずに狙われる...生贄の娘は神と信仰の娘達である『マーシャ預言者アビゲイルバーレの真の王』との約束により信仰が続く限り悪魔から保護される存在...それを誰かが破った故にティナちゃんは狙われる存在になってしまったし、生命を弱らせる結果を生み出したのよ...」


「成程...ではティナがそうなったのは、親父の代になって急に教会員を辞めたのが原因なんでしょうか?祖母は敬虔な信者でした、小さい俺たちをエアヴァルドの教会へ巡礼旅行へ連れて行ってくれた程ですが親父は一切そう言う事はしなくなりましたので」


お兄様がエステルお姉様にそう尋ねるわ。


「シルヴィオ様はシルヴィオ様のお父様が離れた原因が分かるのかしら」


「...詳しい事は全く、だけど母が屋敷を去った頃の話なのは間違いないです...あの頃から急に領地の収益の悪化やらでかなり傾いてしまった為かと思ってましたが」


お兄様がそう話をするとエステルお姉様は少し考る。


「...教会は貧しい者に寄付金を強要はしないし困った人々に救いの手を差し伸べるのに」


エステルお姉様はそう小さく呟くわ。


───────────────

※ティナさん2回攫われたりしてるけど、リュシフェルが関わるせい。流石にリュシフェルが絡むと『何か』が歪められて守られてても無駄なのですよ。

ちなみに術能力に長けた希少価値の高いティナさん狙いの男共は実はかなり多いけど(ダリオ然り)、全てディビッドと使用人達、又はシルヴィオと手下がそれぞれ潰していたりする。

ティナさんは何も知らない...何も知らないのですよ...

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