悪魔ダンダリオン その1
ディビッドとジョナサンは暗い中を離宮にむかって走る。
ダンダリオンを封じた離宮の位置は、以前に封印式を確認しに行った際に訪れた事のある場所なので道は分かるが、ピッピちゃんをまず優先して助けなければならない。
王宮から少し奥へ進むとボロボロの石畳の道が現れる、離宮への道であり二人はそこを真っ直ぐに走る。
ジョナサンは走りながら周囲を広く気を読み続けると、小さな気を察知する。
通常の鳥とは違う気であるが、いつもよりも小さい事がジョナサンとしては気がかりだ。
「いた!あっちだディビッド!」
右人差し指でピッピちゃんのいる方向を指すとディビッドはそこまで走る。
崩れ気味の石畳から離れた位置に地面に叩きつけられ動かないピッピちゃんが倒れていた。
羽も散らばり、血も流れている酷い姿だ。
「なんて酷い事を」
ディビッドは駆け寄りすぐに回復をかけるとピッピちゃんの周囲が光り、傷はみるみるうちに回復するが、動く気配は無い。
「傷口は癒えた所を見ると死んではいないですが...目覚めるかどうか...」
ディビッドはピッピちゃんを拾い、周辺を見回す。
「下手に放っておくと野生生物にやられかねませんね...ジョナサン!ピッピちゃんを姉上の元へ」
「ああ、しかし盾役も連れないでお前一人で大丈夫か?」
ジョナサンはディビッドを心配する、悪魔を滅ぼす切り札ではあるが、盾役のマキシムやそこを補う攻撃力を誇るジョナサンと違ってディビッド本人は打たれ弱い、その為にいつも盾役とペアで行動しているのだ。
「まぁ合流まで何とかしますよ、ジョナサンも早く戻って来てください...」
「マキシムも連れて来るか?」
ジョナサンがそう尋ねるとディビッドは首を横に振る。
「今姉上の件で動揺しまくってる
「...お前」
「そんな事で死人を出したくは無いんですよ、それに私は預言的に
と皮肉げに笑顔を見せるディビッド。
突き放した言い方をしてはいるが、彼なりにマキシムの事を心配しているのだ。
それに悪魔を倒す事は命懸けで気の抜けない仕事である、動揺してミスを起こせば死に繋がる可能性もある。
「...分かった...直ぐに戻る!それこそ先走って一人でおっ始めんなよ!」
「気をつけますよ」
ジョナサンはピッピちゃんをディビッドから受け取り、元来た道を走る。
「...じゃあ向かいますかね...」
そうつぶやいてディビッドは離宮に向けて走り出す。
嫌な予感がする、バレンティナも悪魔の気配に気がつき、ピッピちゃん...姉エステルを酷い目に遭わせた事態...
封印式が解除される前に止められればと思いながら、ディビッドは離宮まで走るのだった。
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