悪魔ダンダリオン その2
ディビッドはダンダリオンの封印された離宮付近に近づくと、小競り合いが生じているのを見る。
付近の身を隠せる柱から覗くと、離宮に結界を張っていた術士や兵士達が沢山の人の影の様なモノに抵抗している事がわかる。
「...なんだ...あれは...」
その影は術士や兵士達に纏わりつき、抱きしめるように締め上げて次々と倒れていくと、結界が更に薄くなる。
そして影は術士だけを捕まえて引きずるようにし集めている。
その影の一つがディビッドに気が付いたのか一体やって来る。
ゴォォォと風が吹くような唸り声と共に、暗闇より黒い影が迫るのでディビッドはすかさずシルバービートを取り出し、その影に弾丸を撃ち込むと、その影は「ギャア!」と断末魔と共にボゥっと霧散して消えてしまう。
「...聖化された純銀が効くのなら」
とディビッドは手持ちの弾丸数の数を思い浮かべながら、攻撃を受けている人々を助ける為に飛び出し、次々と影目掛けて純銀製の弾丸を撃ち込んでいく。
銃口の大きい銃による重い発砲音が何度も響く。
「ギャアアア!」
影は純銀製の弾丸を身に受けると、断末魔を上げながら消えていく。
六発撃ち込んだらシルバービートが弾切れになるため、ディビッドはそれを見計らいやや距離をとって動きながら弾丸を充填しては再度影を撃ち込んでいく。
撃ち切ってはシリンダーからジャラジャラ、と薬莢を地面に落としては充填しをくり返す。
大体の影が消えたのを見計らい、攻撃を受けていた人々の元へ近づく。
「大丈夫ですか」
「何方か存じ上げぬが、感謝する!」
緑のローブの術士の一人に声をかけると、感謝の言葉をかけられる。
「術士は再度結界を張り直して下さい、影は私が打ち消します」
ディビッドは術士達を背にし、もう一つの銃、エクソダス1922を構えると何かを発動させたのかディビッドを中心とした周囲を柔らかい光が取り囲む。
光はダメージを受けた術士や兵士まで到達すると、彼らの傷がみるみるうちに消えていく。
「エリアヒール???まさか司祭?」
術士達は目を丸くする、トラウゴット教の司祭はどちらかというと回復などの癒しをメインとした穏やかな連中という認識だが、目の前にいる男はなんとも好戦的だし、華麗とも言える動きで銃で戦う姿は認識とかけ離れている。
「見も知らぬ方!一体貴方は!」
「あ~そうですね、私は上級異端審問官『白の射手』ディビッド ザイオン バーレ、まぁ大層な肩書きですがただの駆除屋ですよ」
術士達に振り向き名乗った後にニヤリと笑った後に直ぐ正面を向く。
「上級異端審問官って...悪魔討伐を生業とする連中じゃあないか」
兵士がその事を思い出す、一度ここへ来て封印式を再度かけに来た事があるのを覚えていた。
そういえばよく見れば、あの印象深いアメジストの双眸は間違いなくそうだと兵士は自覚する。
「さぁて、影の正体は何者か知りませんけど裏にリュシフェルがいるんでしょうね」
ディビッドはそう言いながら再度シルバービートを左手に持ち影に向かって銃口を構えた。
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