邪悪なモノ その3

※ちょっと前時間に戻ります。


音楽が続くうちずっとディビッドと踊っているけど、確かに上手なんだけども何処か触り方が不埒な感じがしたりとか身体を密着させ過ぎな気がするのは気のせいじゃないわよね...


あ!また腰に手をやるついでにお尻触ってきてる!もう!


そう言う不埒な事をするからわざと足を踏むけど、それすら嬉しいのかニコニコしてるわ...むむ。


「本当にもう!」


「はは、ティナがかわいいから」


「そんな事言ってもダメよ!」


本当は手を抓りたい所だけど、流石に見えるところでそんな事は出来ないし!


「ティナは何を着ても似合うけど、今日は本物のお姫様みたいで可愛いなぁ、本当用意した甲斐がありました」


確かに素敵だしお姫様っぽい可愛いデザインのドレスなのよ、本当にディビッドは可愛い系が好きみたい...例の用意してた制服や水着とか可愛いデザインだったし。


でも首も袖も全部生地で隠してる作りだし、露出が無いし大人っぽさが足りない気がして心配になっちゃうわ。


元々用意していたドレスは胸元も開いてたクリーム色の大人っぽいドレスだったのに、まぁ着る事が出来なくなっちゃったからどこかに買い取ってもらわなきゃよね...


「でもお姫様って言われて喜べる歳じゃ無いわよ」


「私にとってはずっとお姫様のままですけどね」


「む...そっちだって王子様みたいよ」


「まぁ今日は特別にそう見える様にしてますから」


って微笑まれるけど、見た目に関しては本当にここにいる誰よりも理想の王子様っぽいのよねぇ。


ただ、たまにディビッドが別な方に目を向ける時があるわ、方向からきっとエステルお姉様が心配で気にかけてるのかしら?


「ねぇ...陛下とエステルお姉様の結婚の話だけど、もしかして貴方も知らなかったの?」


「ええ...私達に黙っていたんですよ...きっとマキシムやサミュエルが反対しかねないからでしょうけど、ただ理由は全く解らないんですよ、そんな事しなくたっては果たせる筈なのに」


「目的?」


「あまり人前では言えない内容なので後でゆっくりした時に話します、なんならこの後に二人っきりで休憩室へ...」


音楽がそろそろ終わりそうになった頃合いだしなんだろうけど、二人きりとか何か不埒な事を考えてそうだわ!


そんな時、背筋に何かざわざわしたものが走る...とても嫌な感じ...


さっきの悪魔が現れた時と同じだわ???


「ディビッド...」


「どうしました?」


「何か悪い気を感じるんだけど...もしかして...」


「具合が悪いですか?」


踊りを辞めて抱え込まれて、広場から壁の方へと連れて行かれちゃう。


「具合悪いんじゃないの、悪魔の気配を感じるの」


「え!」


そんな時誰かが近寄ってくるわ、あれはジョナサン!


『ディビッド!エステル様が呼んでいるからお前もすぐに来い!悪魔が現れるらしいぞ』


ジョナサンがエアヴァルド語でそう言うわ!やっぱりそうなんだ!


「...分かりました...ティナ?ティナは義兄様達の元へ行って下さい」


「...分かったわ...」


そう頷くとディビッドは微笑みを浮かべて、私のおでこに軽くキスをするわ!きゃあ!


「も...もうっ!人前で!」


「はは、本番は後でね」


そんな事言ってジョナサンと一緒に去っていくディビッドの背中を見つめる。


ディビッドがいなくなっちゃってどこか寂しくなっちゃう、お兄様のところに戻ろう、と思って周囲を見ると、こちらをじっと見る大勢の人々の目...


何だか注目されてしまったからなのかしら、何だか嫌ね。


そんな目を無視して、お兄様の元へ戻ろうとする、きっとお兄様は友人達と一緒だろうから。


そのまま探すとお兄様の姿が見える。


「お兄様!」


「ティナ、あの色男ディビッドと一緒だっただろう?どうしたんだい?」


「エステルお姉様の件で何かあったみたいで...」


そう言いかけると急に眠気が...あれ?


「ティナ!」


お兄様の声が...遠い...

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