それって大出世じゃない! その1
※ティナさん視点にちょい戻りますよ
謁見の間での出来事の後に控室でちょっとおやすみ中なのよ。
あんな風に悪魔を倒した後なのに、まさか夜会をするなんて...きっと体面もあるのだろうけど。
でもまさか陛下とエステルお姉様が婚姻をするなんて...本当にどうなるのかしら。
サヴェリオ陛下はすごい嬉しそうな顔をしてたけど、お姉様は何だかそうでもなかったみたい。
ただそれ以上に心配なのはお兄様...始めて見る姿にもう何だか見ることができないくらい憔悴しきってるわ。
よほどお姉様の結婚がショックだったのかもね...しかも相手がサヴェリオ陛下じゃ太刀打ちできないしね。
「エステル様」
そうつぶやいては大きくため息を吐くお兄様が何だか可哀想...まぁそれを言っちゃうとマキシムさんだって同じかもだしね。
「お兄様、失恋は誰にでもある事よ?元気を出して?私なんて人前で婚約破棄されたのよ?」
まぁあの後悪魔が現れて大変な事になっちゃったし、その時にディビッドに捕まっちゃう結果になったから、何とも言えないけど。
「ああ...」
うーん...何だか話を全く聞いてないわ...この後の夜会大丈夫かしらお兄様。
「落ち込み方が酷いねぇ...シルヴィオ、でも一つ成長出来たって事だね」
パパはいつも通りににこやかにそんな事言うわ、失恋も成長の内って言いたいのかしらねぇ。
そんな可哀想なお兄様を宥めていると、ドアのノック音が聞こえるからピエトロがどうぞ、と声をかけるわ。
出てきたのは、サヴェリオ陛下の側近の方だわ、どうしたのかしら?
「アルカンタル侯爵家のシルヴィオ様...陛下がお呼びです」
とお兄様を読んでる?陛下が?
「ああ...」
何だか気力の無いお兄様が側近の方に連れられていっちゃったけど、お兄様あんな感じなのに大丈夫なのかしら...
ー
お兄様が陛下に呼ばれて1時間後に、戻って来たけど神妙な面持ちでやって来たわ。
「お兄様、どうされたの?」
「...大変な話になった」
「え?」
「エルコラーロ要塞を中心とした国の直轄地と近隣の土地をベルガモ領に組み込む事になった」
「え!じゃあ領地が広がるって事でしょ!すごい栄誉な事だわ!」
「それだけじゃない...ただでさえ広い領地が更に広くなる関係で、アルカンタル家の爵位が上がっちまう...グラノジェルス公爵家の失態の数々からあそこの領地を取り上げられてそのまま伯爵まで爵位格下げするからその穴を埋めろと陛下が言ってきた」
「ええ!」
とんでもない大出世だわ!うちが公爵家になるなんて!
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