悪魔サロス その2

凍ったサロスの対してそのままディビッドはエクソダス1922を構えて聖典の一節を読み上げる。


『裁き時は来たっ!悪しき者の頭を砕く裁きの鉄槌を!』


裁きの鉄槌の句を読み上げると、長い髪をたなびかせた光り輝くサンソンの幻影が現れて、その拳でサロスの顔面を殴り倒し、結界の壁に背中がぶち当たる。


『ギャアアア!』


結界はエステルが直接張っている聖属性故にまるで背中が焼ける様にジュウジュウと黒い霧を放つ。


『おのれ...おのれぇぇえ!』


そう叫び黒い霧を放ちながら、サロスの身体はメキメキと音を立てて膨張し始める。


そのワニのような姿はより一層大きく変化し、人の3倍もの大きさになり、頭にはギラギラと光る冠を被り腕には大きな槍を持ち、その皮膚は黒い金属の様に光る化け物へと変化した。


『このサロスにこのようなナメた真似をしおってぇぇぇ!許せぬ!許せぬぞォォォォ!』


ワニのような大きな口を開き、地響きのような叫び声を上げるサロス。


「うわっ...うるさいですねぇ」


仮面の下で眉を顰めるディビッドはエクソダス1922の銃口をサロスに向けると、銃の姿がショットガンタイプへと変化する。


「結構硬そうだな、ディビッド、ジョナサンいけるか?」


ディビッドの前にガードする様にマキシムが立ち、二人に声をかける。


「あの手のトカゲ的な奴は雷に弱い筈だ!」


「了解!」


とジョナサンは術式を展開し、ディビッドは聖典の一節を読み上げる。


『術式展開!ブリッツシュラーク!』


『神は望まれた!天よりの裁きの雷を身に受けよと!』


二人が同時に電撃攻撃を仕掛けると、強い稲光と共に大きな雷鳴が二つ鳴り響り、サロスは大きな衝撃を受ける。


『おのれぇ!』


サロスはジュウジュウと黒い霧を身体中に放ちながら手に持つ槍を振り回し、ディビッド達をなぎ払おうとするので、それをかわしながら次の手を考える。


「間合いが狭いからなかなか難しいな!」


建物内で結界を張っている関係で行動範囲が狭く、攻撃をかわすにしても難しい。


「じゃあボクの出番っすね」


サミュエルは瞬時に姿を消したかと思った瞬間、サロスの背後へ移動しチェーンウィップで槍を持つ腕をその鎖で絡ませ封じるが、思ったよりも力強い。


「くっ...思ったより重いっすね...おいガキンチョ!強化頼むっす!」


「了解!『身体強化!腕力増強!』」


サミュエルへ身体強化術を展開させると、動きが安定して腕を固定できる。


『小癪なっ!』


なんとか鎖を断ち切ろうとするも、純銀製の鎖が食い込みそれが痺れて動けない。


そのためにサロスは空いている腕を振り回してサミュエルに襲いかかろうとする。


「ガキンチョ!手伝うっす!」


「了解!『武具生成!チェーンウィップ!』」


ジョナサンはサミュエルのチェーンウィップと同じ見た目のものをガントレットから変化させてその手に持つ。


そしてチェーンウィップをサロスのもう片方の腕をその鎖で絡ませ、力一杯引っ張り上げる。


サロスは左右の腕を拘束されて身動きが取れない。

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