その裏で
バレンティナがドレス一式を見ている姿を別の屋敷の屋根で遠目で見つめる数人...ディビッドの所の使用人の二人だ。
ちなみに配達行者を装ったのはその片割れである。
「それにしてもディビッド様やりすぎじゃないか?」
「あのドレスを着せる為にわざとバレンティナ様の注文したドレスのサイズを変えるとかなぁ...」
「それでいて見ただけでサイズをミリ単位で分かるとかあの方の観察眼、ある意味才能とはおもうけど」
と、そんなことを二人でぼやく。
「お!坊ちゃんとこの使用人たちじゃん」
と明るい声が、サミュエルだ。
「サミュエル様」
使用人達は頭を下げる、なんでこんな所にと思いながら。
「んな堅苦しいのはいいって、元々ボクと君ら同僚じゃん~で...お嬢様のドレスの件の話ってマジっすか?」
「あ...いや...」
使用人達は口籠もる。
サミュエルはそれこそ昔はエステルか連れて来て暫く使用人として仕事させていた時期があり、何人かは顔見知りでもある。
「坊ちゃんマジでキモいっすね、それ...何というかもうちょい言ってやった方が良いと思うっすけどねぇ...それこそ今エステル様もいる事だしさ」
「しかしあの方は」
「...わかってる、でもさぁもう大人だし気の毒だからってみんなして甘やかすばっかりが良いとはかぎらねぇっすよ...」
基本使用人達はディビッドの生い立ちを哀れんだ事やほぼ無理矢理ロストックから連れられてこられてすぐの間は、ロストックに...フラウエン教会に帰りたいとひっそり泣いていた事など知っていたから、全員が甘い所がある。
それでも表向きはしれっとしているし、よくいたずらするし、そういう所を見せようとはしないのがどうにもいじらしいと思うのだ。
それにハイラントの家系故、沢山の危ない目にも遭っているし、死にかけた事など知っている。
確かにディビッド本人が選んだ道ではあるが、何も知らずに司祭になって静かで穏やかに生活するのを考えていた12歳の子供には厳しい道だっただろう...
ただまぁその道選んだのが『可愛い女の子と結婚して幸せになれる』という言葉を信じた結果ではあるが...
「まぁいいや、じゃあ!」
と言ってサミュエルはスゥっと姿を消して去っていく。
「サミュエル様はディビッド様に厳しい気がしますよね...」
と使用人の一人が言う。
「まぁそれそこエステル様が
そうもう一人が呟くのだった。
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