記念式典 その1

とうとうサヴェリオ国王の即位十周年記念式典の日が来ちゃったわ...


式典は毎年行われてはいるけど、節目の式典は大々的に行うのが通例なのよね。


だから周辺諸国の要人も集まるし、上位貴族達は余程の例外がなければ絶対参加になるのよね。


サヴェリオ国王陛下が即位されてからは、国力が大きくなっているし、周辺諸国もその恩恵に与りたいと思うのかもしれないわ。


それに帝国の動きも気になるし...と言う所なのかも。


凱旋パレードの後に城内での式典があって、その後に夜会もあって大忙しよね。


本来なら血縁の近い王族と共になんだろうけど、今はサヴェリオ国王と側妃それぞれが産んだ王女様と王子様、最近妊娠して安静にされてる正妃様の子だけだし、上は十歳にも満たない子ばかりだから今回表に出られるのは国王陛下だけなのよね。


パレードは街の大通りを陛下のお姿がわかる様に屋根無しの馬車を使って回るのだけど、馬車周辺には同行する兵士達がガッチリガードしていてなかなか厳重なのよね...何だか記念式典っていうより、戦争から帰還した英雄の為のパレードみたい...


まぁ、サヴェリオ国王陛下は元々軍に身を置いてらっしゃった方だから仕方ないのだけど、きっとこの物々しさは陛下の好みなのかもしれないわね。


と家から持ってきた双眼鏡でその姿を見る。


パレードを見るためにお城のバルコニーに出ているの、同じ様に見ている貴族が何人かいるの。


それにしても以前に直接お会いした事があるけども、なんとも威厳のある方よねぇ...陛下。


白銀色の髪にアクアマリンの様な瞳は綺麗で美形だけど氷の彫刻のような雰囲気なのよね。


元々軍にいた方だからか結構背も高くて体格もがっしりしてるし、真っ白な軍服に沢山の勲章が付いているけど、勲章の内容に関しては詳しいことはよく分からないのよね、ただ賢者の称号持ちで悪魔を封じた程の能力を持ってらっしゃる事だけは間違いないんだけども。


「ティナ」


後ろから声が、パパだわ。


「そろそろ陛下が戻られるから、謁見の間に行こう」


「そうね」


そう言われてパパの後ろをついて行く...沢山の煌びやかな姿の要人の方々も多いわね。


確か今日スザンナの来てるはずなんだけども、こうも多いと見えないわ。


「あ!ティナ!」


「スザンナ!」


スザンナがスザンナのご両親と一緒にいるわ!


スザンナのご両親はこちらに頭を下げるけど、パパはいいよいいよとニコニコしてるわ。


それにしても今日もスザンナかわいいわね、ふんわりしたグリーンドレスもとっても似合ってる!


「ティナすごい素敵なドレスね、綺麗!でも確か聞いてたドレスと違うみたいだけど???」


ああ、スザンナには本来着るはずのドレスの色やデザインの話をしてたものね。


「実はこれ贈り物なの」


「え...じゃあもしかして」


そうよね...この色ならわかっちゃうわよね。


「じゃあ今日ってもしかしてディビッドさん来るの?」


うーん確かにダンスの事メモに書いていたけど...


「来るの...かなぁ?」


「?」


スザンナが首を傾げるけど、私も実際はよくわからないのよ。

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