さて!探るっすね! その2
「お嬢様めっさ苦労してるんじゃあないっすか...」
ピエトロの話を全部聞き終わった辺りでサミュエルがさめざめと泣き出してしまう。
「ギャ!ティナちゃんかわいそうギャ!」
まぁバレンティナの貧乏になって苦しい生活を送ってた話から小さい内に母親が去っていった話やら、なんとかして家を盛り立てる為に努力するも周囲から偏見の目で見られるやら、嫌な格上の貴族の子息と婚約するも破棄するやら、家の為ならお金持ちの後妻に入るのも厭わないという話(ただしピエトロ主観)を延々と聴かされて流石のサミュエルも可哀想に思えて仕方ないようだ。
「見た目が気の強そうな吊り目のお嬢様とおもってたのに、すっげえ可哀想...なのに坊ちゃんときたらそんな不憫なお嬢様の好意を逆手にとって毎日毎晩...酷いっす」
サミュエルは服の裾で涙を拭う。
バレンティナの言葉をそう捉えれば、毎日男女の営みを続けていた事は用意に分かる訳である。
「ギャ!やっぱりディブをボコボコに!」
「はっ!私は一体!」
ピッピちゃんの声にピエトロが目を覚ましてしまう。
「貴方は一体!」
不審者に驚くピエトロ。
「あ...ヤッベ...」
とサミュエルがピエトロの目の前で人差し指を向けてゆっくり回す。
「執事のおっさん、これは夢っす...疲れてるから変な夢見てるだけっす...よーく眠るっす...」
そう言うとピエトロはばたり!とベッドに倒れ込み再度ぐーぐー眠ってしまう。
「もーピッピちゃん気をつけるっす...まぁ執事のおっさんは白っすねぇ」
とサミュエルは頭をぽりぽりかくと立ち上がる。
「じゃあ次行きますかねぇ...」
とサミュエルとピッピちゃんは執事のピエトロの部屋を出て次のターゲットの元へと足を運ぶのだった。
ーーー
「うーん、使用人は全員白っすね~」
使用人全員催眠によって聞き出すも、全員が特に何も無く、むしろバレンティナがどれほど可哀想なお嬢様で、みんなが大切に思っているのかが分かったくらいである。
サミュエルがバレンティナの部屋に戻って姿を部屋の主に変化させるとベッドにダイブする。
「いやぁ疲れた疲れた...もう今日は寝るっす...」
目を瞑るサミュエル...ふかふかな良いベッドだなぁと思うも、そういえばこのベッドで毎日ディビッドとバレンティナが営んでいるであろう事に気がつきばっと起き上がる。
「どんなにシーツとか毎日変えて綺麗にしてても坊ちゃんが毎日営んでる場所になんて寝れねぇっすわ!」
思うにディビッドのバレンティナに対してのあの感じでは間違いなく嫉妬深いし執念深くてねちっこいタイプだ、そんな男の営んでる姿を想像したら寝れる筈が無い。
と言ってソファーへ向かってそこで横になる...
「あーあ...ボクも良いところでゆっくり寝たいな~」
そう言ってソファーでそのまま目を瞑る...お貴族様のソファーもなかなか良いなぁと思いながら。
まぁ実はそのソファーでもいろいろ営んではいるのであるのだが、催眠術をたくさん使って疲れきったサミュエルの頭にはそこまでは回らなかった...
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