さて!探るっすね! その1
深夜遅い時間...
バレンティナのタウンハウスの部屋の中、ベッドであぐらをかいているバレンティナに変装するサミュエル...とても行儀が悪い。
ピッピちゃんの様子が変わってギャ!ギャ!と鳴き始める。
「ギャ!ギャ!サム!サム!大丈夫ギャ?」
「ん?どうしたっすか」
バレンティナに変装したサミュエルがピッピちゃんに顔を向ける。
その日サミュエルはバレンティナに変装し一日、タウンハウスで大人しくしていたのだ、まぁ使用人達全員を探りながらであるが。
「ギャ!そっちはどうギャ???」
「まぁ今の所おかしな人物は見当たらないっすね~ご飯にも変なの混ざって無かったっすし、ああ!お貴族様のご飯フツーに美味しかったっすよ」
サミュエルはエステルが憑依したピッピちゃんにそう言う、一応人前では行儀良く演じていた為今の所バレてはいない筈である。
「ギャ、ティナちゃんの心臓に何か悪いものがあったギャ!絶対周囲に何かあるギャ!詳しく探るギャ!ギャ!」
「へいへい」
サミュエルは元の姿へ...赤混じりな金髪と紺色の瞳の司祭服を着た優男へと変化すると、ピッピちゃんを肩に載せる。
「じゃあ本格的に探るっすかね~」
ニヤリとサミュエルは笑う、変装の達人でエステルの影武者だけではなく、彼の本業は諜報活動であり催眠術などを用いての情報収集に長ける男なのだ。
ベッドに認識阻害の札を貼って誤魔化した後に自身の姿も消して部屋を出る。
「使用人の中でもあのピエトロとか言うおっさんから始めますかねぇ~」
「ギャ!」
「ピッピちゃん...しーっすよ!」
サミュエルはピッピちゃんの鳴き声を嗜める。
「ごめん...ギャ...」
小さい声でピッピちゃんは謝る。
「まぁただの鳥が鳴いてるとしか思わないっすよきっと」
そう言ってサミュエルは廊下を歩いて行く。
階段を降りて少し歩いた先に目的の執事のピエトロの部屋の扉の前に立つ。
そーっと執事のピエトロの部屋に入ると、部屋の主であるピエトロはベッドの上でいびきをかきながらよく寝ているのを確認し、サミュエルはピエトロの頭に手を置く。
「さぁて...執事のおっさん...いろいろ教えてもらうっすよ~」
とパチン!と頭を叩くと目を開いて起き上がる。
その顔は虚ろでなんだかぼんやりとしていた。
「さてさて、バレンティナお嬢様のお話聞かせてくれるっすか?包み隠さずなーんでもっすよ~」
「...お嬢様?はい...お嬢様はとても素晴らしい方で...」
執事のピエトロは虚ろな目をしながら話し始めた...
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