こんな所でなにやってるのよ

化粧室にたどり着くと周囲に誰も居ないことを確認してから口を開く。


「もう!驚かさないで!姿見せなさいよ!ディビッド!!!」


化粧室でそう言うとすっと姿を表すディビッド...これきっと認識阻害の札使ったのね!


「だってこうでもしないとティナに近づけないですから~」


とギュウ!と抱きしめられちゃう!


「きゃあ!こんな所で抱きしめないで!!!」


「良いじゃないですか~」


抱きしめられる事は嫌じゃないけどこんな所じゃ嫌なのよ~


「良くないわよぉ...それに長く籠ってると怪しまれるから戻るわよ...」


「ええ~」


とても残念そうな顔するディビッド。


「ここにいるのバレたらまた半殺しの目に会うかもじゃない...貴方が息してない姿を何度も見たくないわよ...もう...」


未だにお姉様がディビッドにかけたアルゼンチンバックブリッカーで背骨が折れたと思われる音が忘れられないのよ...怖っ!


何だか不満げな顔しちゃって...どうしようもないんだから!


「式典の後に落ち着いたらここに来ましょうね」


と背伸びしてディビッドの頬にキスをするとディビッドの顔が真っ赤になっちゃう。


「じゃあね」


と化粧室から出て元の場所に戻るけどあれ???


「あ!お連れ様伝言が」


とさっきの店員さんがやってくるわ。


「お姉様達が?」


「一度荷物をなんとかしたいからって出ていかれました、少ししたら戻って来るそうなので」


「え???」


あ!でもあの荷物だものね...と思った瞬間お店の扉が開いたらディビッドが!


さっきまで化粧室にいたのに???それこそ姿を隠して外に一度出たのかしら?


「先程の客の弟です、連れが居るとの事なので」


と店員さんに話すけど、ディビッドのキラッキラな笑顔に店員さんも見惚れちゃってるわ...む...


「ねぇあの方って有名パティシエのディビッドさんじゃ」


「ああっ!本当だわ」


「いつ見てもカッコいいわね...」


そんなヒソヒソ声が聴こえてきたわ、お客さん達がディビッドに気がついて注目してるし...まぁ確かに有名だしね、ただでさえフィオーレ・ビアンコの件で有名だったのに、クレープ屋の一件で更に有名になってしまったのよねぇ。


本当にそんな有名になってどうなのかしら...とは思うんだけど...


「ああ!ティナ~姉上が戻るまで時間がかかるなら、今度は私と一緒に見ましょうか?」


って笑顔でしれっとやって来て腰に手を回して来たわ!


「ああ、実は彼女とペアアクセサリーを作りたいんですが見本とか見せて貰ってもいいですか?出来れば二人の瞳の色の石でお互いの物を作りたいんです」


と店員さんにキラッキラな笑顔を見せながらお願いすると、その笑顔に店員さんやられ気味になってる...


「え!何あの女!」


「ディビッドさんと付き合ってるのかしら...」


って更になんか聴こえてきた...ううっ...お客さんの視線が...痛いっ痛すぎるわ...

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