まぁ大目に見てあげるわ
エステルとマキシムは街中を二人で歩く、荷物を置きにいく為、まぁ実際は近くにいる護衛役に渡しにいくだけではあるが。
「良いんですか?」
「何が?」
「分かってて一度荷物置きに戻るって言ったんですよね?」
マキシムがエステルにそう言う...ディビッドがあの店に入って来た事を気づいていた様だ。
マキシムはジョナサンまでとは言わないが多少は気を感じる事はできる、しかもディビッドとは長い付き合いだ、よく知っている。
「まぁね...別に付き合う事自体反対してる訳じゃないもの...ただ結婚前で手を出すのが駄目って言ってるだけだし~」
エステル自体はかわいい義妹が出来て嬉しいのには間違いないのだが、ただ愚弟ディビッドの執着とも言える程にバレンティナに無体を働く事が許せないだけなのだ。
バレンティナには肉親としてそう言う事をするディビッドをエステルは本当に申し訳ないと思っているのだ。
なので二人が普通に仲良くデートする事は全く問題ないと思ってはいる。
それに将来バレンティナはハイラントの母の一人になる事は決定している、しかも
「そうですか...」
「それにあの子暫くちゃんと時間取れて無かったって話らしいし、お揃いのアクセサリー作る時間くらい目を瞑ってあげましょ」
とエステルはウィンクしてマキシムの持っている荷物を一つ手に取る。
「ところでマキシム、さっき貴方も何か買っていたようだけど?」
そう...マキシムも実はエステルの為にと二人がお揃いアクセサリーを決めてる間に、こっそり青いサファイアのイヤリングを購入してたのだ。
それにしてもマキシムもまた自分の瞳の色の物を買って渡そうとか、なんだかんだで独占欲の強い男でもある。
「あ...いえ...」
マキシムは懐に仕舞い込んだイヤリングの入った箱に気を向ける。
顔を赤くし目を逸らすマキシムの顔をエステルはニヤニヤと見つめる。
「貴方もこっちに来て良い人でも見つけたのかしら?なんだかジョニーも片想い中らしいしね~」
エステルはジョナサンがスザンナに片想い中な話も知っているようだ。
「なっ!そう言う訳ではありませんよ!」
マキシムは顔を真っ赤にして否定する。
「そうなの?」
「私はずっとエステル様一筋ですからね」
「はいはい、忠誠心だけは誰より立派なのだから」
マキシムはそうじゃないんだけれど、と心の中で思うも自身の色恋沙汰にはさっぱりなエステルの鈍感さは十分に知っているから、マキシムはため息を吐くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます