サミュエル その1
結局遠目でバレンティナを恨めしそうに見るだけで今日と言う日が終わってしまった事に不満なディビッド。
しかもいらない事言ってしまい先程ヘッドロックを食らわされて散々である。
日も暮れてしまい、リビングの窓からは夕日が差し込み部屋はオレンジ色に染まっていた。
「ピッピちゃんを置いていくなんて...」
とディビッドはピッピちゃんに皿に餌をあげならがぼやく。
「ギャ!なんか言ったギャ!」
「いいえー」
「ギャ!」
ピッピちゃんはそのまま夢中で餌を啄む...エステルはピッピちゃんをディビッドのお目付役で置くことにしていったのだ。
ピッピちゃんが見るものは全てエステルと共有されるのを知っているから下手な事が出来ない。
しかも今回すぐ近くにあの恐るべき姉エステルがいる事態である。
きっと撒いてバレンティナの元へ向かえば速攻捕まって半殺しの目に会う事必須...何とも悩ましいのだ。
窓の外をぼんやり見つめるディビッドは、 ふと外にいる人影に気づくと嫌な顔をする。
人影は店に入ると数分もしない内にドアにノックする音が...
「どうぞ、どうせ鍵なんてかけてないですから」
リビングのドアが開くとサミュエルが私服姿で立っていた。
「坊ちゃん久しぶりだね!」
「サミュエル...私は坊ちゃんじゃありません」
「いやいやボクにとっては出会った時のまんま...坊ちゃんは坊ちゃんですから~」
とリビングにずんずん入っていって椅子に座る。
「何の用です?」
「いやぁ坊ちゃんがどんな生活送ってんのかな~と思って、まぁまぁいい生活してんじゃないですかぁ」
「別にいいでしょ?マキシムよりお金はかかってませんし」
腕を組みながらサミュエルを睨む。
確かに毎日高級ホテルのいい部屋を使っているマキシムよりはお金もかかってない上 、フィオーレ・ビアンコの稼ぎもあるためディビッド自体は実際滞在費自体かかるどころか儲けており懐は豊かな現状である。
「まぁ実際のところ本物の王子様だし~別に坊ちゃんだって王子様とおんなじ待遇出来たでしょうに...ってそういえば女の子の為にわざわざそうしてたんでしたっけねぇ」
とわざとらしく今思い出した様に言う所が嫌味な所である。
「女の子じゃないです、ティナは私の花嫁です」
「まぁ花嫁ねぇ...一人の女の子だけなんてさぁ勿体ないっすねぇ、その顔ならハーレム築けるだろうに~」
「そんなもの要りませんよ...」
「まぁ流石に教会の孤児院育ちだからって所っすかね~ボクとはえらい違いだ」
ははは、とサミュエルは笑うがディビッドは眉を顰める。
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