姉襲来 その6

「2週間の内のこの期間は式典真っ只中だし、この前後なら時間取れると思うのよね」


「じゃあここで街を散策しませんか?丁度お祝いムードで賑やかで楽しいと思うので!」


「良いわねぇ...あと水族館に行ってみたかったのよ!」


「あ!良い所ですよ!じゃあそこも...」


とエステルお姉様と和気藹々とお店の中でガイドブックを見ながら話しているの、あちこち遊びに行く為にって。


因みにエステルお姉様は流石に前回の格好だと派手過ぎって怒られて、もうちょっと落ち着いた(と言っても見た目がそのものが美女だから目立つけど)赤系のワンピース姿なのよ、髪も黒に変えてるし。


ただ遠くからの視線が何とも痛いのよねぇ...


「こんにちわ!」


「スザンナ!」


「今ティナが見えたから、此方の方は?」


スザンナが不思議そうにエステルを見る。


「ディビッドのお姉様なの」


「うふふ、エステルって言うの、初めまして」


エステルお姉様がスザンナに自己紹介するわ。


「わぁ!よく見たらそっくりですね~」


と空いてる席にスザンナも腰掛けて貰う。


「旅行で2週間程こっちに居るんですって、だから一緒に遊びに行ける所を見てるの」


「あ!いいわね!楽しそう!」


「じゃあ一緒にどうかしら?」


「良いんですか???」


「遊ぶなら大勢の方が楽しいもの~、ま!女の子だけでね」


とエステルお姉様が遠くでじっと見ている人物にニヤニヤしながら目を向けるわ...


―――


「だから姉上が来る前にティナと逃げたかったのに...」


「スザンナさんまで...」


ディビッドとジョナサンが楽しく女子会をやっている三人を恨めしそうに遠目で見ている。


「まぁ仕方なかろう...あんまり女の子同士で仲良く出かけるなんてした事無いだろうからな...エステル様は」


とマキシムは椅子に座って腕を組んでそちらを見つめる。


「折角この時期に一緒に水族館にって誘おうと思ってたのに」


ジョナサンはこっそり水族館のチケットを買っており、スザンナを誘おうとしていたらしい...ちなみにお金はウェイターの仕事でディビッドからバイト代として貰ったもので購入したのだ。


「まぁ無理でしょ...」


じっとりした目でディビッドはバレンティナを見つめながら呟く。


「あとマキシム...姉上は三十路の行かず後家であって女の子じゃ...」


「ギャギャ!」


とディビッドが言いかけた直後にピッピちゃんが高速で飛んで来て突っつき攻撃を始めてしまう。


「痛たたっ!」


「ギャ!ディブがエステルの事悪く言った!ギャギャ!」


「ピッピちゃん!辞めてやれ!ディビッドの頭から血が!!!」


マキシムがピッピちゃんを止めようとするが、威嚇して手に負えない。


「何か私の事言ったんでしょ...ディブ...」


とエステルがディビッドの元へやって来る...ドス黒いオーラを背中に放ちながら...


「姉...上???」


おでこに血が滴るディビッドは青ざめながら自身の姉の姿をただ見るしか出来なかった...

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