エルコラーロに安寧を その4

『神託の度にぶっ倒れるのは不本意でしょ?だからこの子の身体を借りたんだ、なんだかんだでこの子もマーシャ時代から続く生贄の娘...血の繋がりがあるからかな、この子の身体を借りる事ができたのはね』


ディビッドに顔を向けてそう話す。


『かく言う私もこの子もエステルも悪魔に呪われた『生贄の娘』...この翡翠色の髪と薄桃色の瞳がその証...そしてそこにいる『白の射手』こそその呪いから解かれたハイラントに続く存在...人々の希望...将来この世界に苦しみと悲しみを与え続ける最初の悪魔リュシフェルの頭を打ち砕くの!』


その女の子は私の指を使ってディビッドを指さすわ。


「まぁ私から更に数世代先の話でしょうけどね」


ディビッドは訝しげな顔でこっちを見てるわね...


「ディブ!」


エステルお姉様がディビッドに殴りかかろうとしてる!大変!


『はは!いいよいいよ!エステルも手を出そうとしないで』


私の中のその人が笑いながらお姉様を諌めるわ。


「早く元のティナに戻して下さい...まさか貴女この先も!!!!」


ディビッドはどうやら私が乗っ取られてしまったと思って怒ってるのね、別にそんなに怒らなくてもいいのに...


『それは神のみが知る事さ、あ!一応この子の精神は目覚めているままだからね、この子に私の事も自分の事も知ってもらう為にもね』


「え...」


『私はハイラントの祖とか12番目の預言者って言われてるのはエステル達や異端審問官ならなんとなーく知ってるかもね』


「...」


ディビッド達やエステルお姉様にシルヴィオお兄様全員がじっとこちらを見ているわ。


『でね、その血を継ぐ為に選ばれた娘バレンティナ...彼女はね今代の二人目の『預言者』に選ばれたんだ...ね?エステル』


「姉上!知っていたんですか???」


ディビッドは驚きエステルお姉様に問い訪ねる。


「...この時までは言ってはならなかったから」


ええ!私が???預言者???


『でも彼女は完全に目覚めてはいない...だから時が来るまではこうやってたまに私に助けるようにって言われたんだ、この子かなり身体が弱いのも気がかりだしね、これじゃあハイラントの誕生にも影響しかねない』


「そんな...」


ディビッドは驚き惑う顔をしたままね...私だってびっくりだもの、でも身体が弱い点が気がかりって...


『まぁ君の花嫁には変わらないよ?ちゃんとハイラントの母の一人になる...まぁ君としては度々私に変わる事に関してはちょっと気に入らないかもだけどさ...さて時間だね』


と女の子はディビッドとマキシムさんとジョナサンを見つめる...とても懐かしそうな気持ちが伝わるわ...


『マキシにディビッドにサンソン...馴染みの顔ばかりなのもそういう事なのかな、あはは』


そう女の子は言って意識が消えていくわ。


「...居なくなっちゃった...」


不思議と寂しくなっちゃうわ...きっと女の子が明るい性格のせいかもね...

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