エルコラーロに安寧を その3
―ちょっとごめんね!身体借りるね?
私の意識に語りかける声...女の子だわ!
私の意識に突如現れた人物が...私の代わりに口が勝手に開き、ディビッドに語りかける。
『ディビッド、神に仕えし『白の射手』...貴方は勝利の上に勝利を得るもの...それは人の悲しみや苦しみにすら勝利する力...さぁ『白の射手』よ、エルコラーロに安寧を』
そう...この意識はあのフラウエン教会のステンドグラスに描かれた女の子のもの!
その言葉を聞きディビッドは頷くと右手に銀色の銃を取り出し天に向ける。
『神は慈悲深く、全ての者に深い愛を抱く方...創造者にして忠節なる神(トラウゴット)よ...救いを!恵みの雨を!この悲しみに囚われた地に安寧を!』
そうディビッドが語ると空が開けまるで光が雨の様に一帯に降り注ぎはじめたわ!
「なんだ???」
「光が...雨のように降るなんて...」
ここにいる全員が空を見上げる...だってこれは『奇跡』なのだから!
その光の雨を浴びた遺体がゴソゴソと動き始める...
「なっ!」
ザナージ大尉が驚き惑うわ。
被せられた布を剥ぐって仲間内で殺された兵士達が次々と生き返り、まるで何もなかったかの様に起き上がる。
「ザナージ大尉!」
「一体俺らは???」
起き上がった兵士達はザナージ大尉の元へ...
「お...お前達!」
ザナージ大尉は驚いて泣きそうな顔になるわ。
そうやって人々が生き返りざわざわとする中エステルお姉様は驚きながらじっと空を見上げているわ。
「復活(リザレクション)を上回る大奇跡...これこそが『白の射手』の真の力...」
エステルお姉様がこちらに目を向ける。
「そしてティナちゃん...いいえ今の貴女はハイラントの祖たる方...ですよね?」
『君も気づいたんだね、エステル...そう...私の子供達でもあり...私の『ディビッド』の子供達...君達とアンドラスとの因果は打ち砕かれ...『白の射手』が今誕生したんだ』
エステルお姉様はそう尋ねると私の中にある別の意識の女の子がそう言うわ。
「まさか貴女が現れるなんて...」
『これは神が決めた事だからね、どうやら血縁関係にある私が1番相応しいってね』
「ティナ???」
シルヴィオお兄様きっと様子の変わった私を心配してくれてるのね。
『この子のお兄さんごめんね、この子はすぐに元に戻るから!』
「一体どう言う事だ???」
「ティナちゃんの中に別の人物が今いるの」
とエステルお姉様がお兄様に説明するわ。
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