銭ゲバ令嬢、なまぐさ司祭に溺愛される

憂鬱な夜、そして脅威 その1

──時は戻って

実家に戻ってパパやお兄様やアンナや使用人達とお話したりして屋敷内で過ごしているけど...確かに楽しいけど...どこか寂しい。

ディビッドがべったりだった時なんて鬱陶しいくらいな気持ちだったのに、居なければこんなにも寂しいなんて...。

夜になったから部屋に戻ってベッドの上で横になりながら、ディビッドから渡された純銀製のカフスを見つめる。

最初から無茶苦茶だったし、勝手気ままな所もあるし、甘やかしたらつけ上がるし、嫉妬深いし、すごいエッチで最近なんて毎日だし...

でも優しいし、強いし、作るお菓子は美味しいし、カッコいいし...誰よりも私を愛してくれる人。

「...早く夜が明けて明日になれば良いのに...」

明日の夕方くらいには戻って来るって言ってたの...大規模な封印式を組むって話だから、悪魔を倒す様な事態にならないけど...

そんな時...ガラスをコツコツと突く様な音が聞こえるわ。

「？」

窓を見ると一羽のオカメインコ！ピッピちゃんだわ！

「ピッピちゃん！」

ベッドから起き上がり、窓を開けてピッピちゃんを部屋へ入れる。

「ギャ！ギャ！ティナちゃん！」

「どうしたの？？？何でベルガモのお屋敷に？」

ピッピちゃん...いえエステルお姉様には実家に戻っている事を特に伝えてなかったけど？？？

「ギャ！ギャ！アンドラスが受肉されて今こっちに向かってる！危ない！」

「え！ディビッド達は！」

封印式が解放されただけじゃなく、悪魔アンドラスが受肉したなんて！

ディビッド達は無事なの？？？

「きっと無事ギャ！ディブはしぶといし長生きして

大往生するの決定してるギャ！」

「でもどうすれば...」

「ギャ！」

ピッピちゃんが床に降りるとふわりと光り輝き、エステルお姉様の姿の幻影へと変化するわ。

『ここは私の力でベルガモの街全体に結界を張るから！ティナちゃんのお兄さんにもこの事を伝えて欲しいの！ピッピちゃんの身体じゃそこまで長くは結界を張り続ける事が出来ないから手伝って欲しいのよ！』

「わかりましたっ」

部屋を出ておお兄様の部屋へと向かう。

「姫様こんな遅くにどうしたのです？」

「アンナ！急いでお兄様に伝えなきゃならない事が！」

「？？？」

アンナと話をしていると、お兄様が部屋から出て来たわ。

「ティナ？どうしたんだい？」

「お兄様！大変なの！エルコラーロの封印が！アンドラスがこっちに向かっているって！」

「なんだい？悪い夢でもみたのか...」

お兄様はそう言いかけて目を見開き驚く。