封印都市エルコラーロ その3

車の中で揺られながらアルカンタル邸へ戻る途中。


3人は私服に着替えており、ジョナサンも弱体化したいつもの姿に戻っている。


仲良く?ディビッド、マキシムの順で並んで座っており、荷物は目の前にジョナサンと並んで置いている。


まぁ一番かさばるのはマキシムの鎧兜と剣で、専用の大きなケースに入れられている、明日の事もあって車に乗せたままにする予定らしい。


「しばらくエルコラーロに滞在しなきゃなんて辛い...」


としょんぼりするディビッド。


「おい...それが目的で一応ベルガモに来てるんだろう?」


「えー私の目的はティナから離れない事だけですよ」


『そのぶっちゃけな理由どうなんだよ...』


ディビッドにマキシムとジョナサン二人は呆れ顔である...


「そう言えばさっき聴こえてきた昨日の夜の件...やったのお前だろ?」


「だって浜辺デートおじゃんにされそうだったんで...腹立たしいじゃあ無いですかー」


昨晩海賊の残党を一掃した件、捕まった海賊の残党が『イナゴに襲われた』『司祭服の男が怖い』とトラウマさながらな事を口々に言うし海賊の親玉を逆さで吊るす等制裁のやり方がいかにもディビッドらしい。


『まぁ...海賊の残党がディビッドを怒らせたのが悪いと思うぜ...うん』


ジョナサンがエアヴァルド語でうんうん頷く...ディビッドが怒ってしでかす制裁がどれだけ大変か身をもって知っている為だ。


「ちょっと考えればイナゴに襲われるだの、司祭服の男だのってお前がやった事バレるだろうが!」


マキシムのゲンコツがディビッドの頭に炸裂する。


「痛っ!」


「全く不真面目極まりない!」


「そう言われましてもねぇ」


ディビッドはゲンコツされた頭をさする、痛みがあっても簡単に回復させるのであまり意味が無いのだが、それをバラすといろいろ面倒かなぁと思ってマキシムには黙っている。


マキシムは仕事の上での相棒ではあるが、ディビッドのお目付役の面も併せ持ち、エステル様からのお願いで何か有れば注意等言い続けている身だ。


「...まぁベルガモの平和に貢献したって事で説教はここまでにするが、領地を守る兵士達のメンツとかいろいろあるから行動する時は気をつけろよ!」


「はいはい」


反省の色が全くない返答にマキシムはため息を吐く。


「はぁ...エステル様が最初にガツンとやっておけばこうはならなかっただろうになぁ...」


とマキシムは言うも、ジョナサン的にはディビッドの性格は元々そうだったし、より悪化した原因が無理矢理バーレに連れ帰ったエステル様となんだかんだで甘いマキシムのせいでもあるぞ...と呆れた目で見つめるのだった。

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