デートの予定を邪魔するなんて許せませんねぇ その1
「悪いなぁ...しかし海賊共の残党まだ残ってたんだなぁ...」
ガラの悪い男達は全員お兄様配下のベルガモ警備兵達によって捕まったわ。
全員縄で縛られてそのまま連れられていくわね...
「ここ数年は大人しくなっていたのに...」
お兄様が領地を治める様になってから海賊に襲われた話は耳にした事なかったのに。
「まぁ仕方ねぇよ...俺を恨んで妹のティナを狙えば...なんて思ったんだろうなぁ、この馬鹿共」
そう言えばお兄様よく海賊共めイオーゼ海の魚の餌になんて言ってたけど...餌にされちゃうのかしら...
「すまないなティナ、怖い思いさせて悪いなぁ」
「大丈夫よ、ディビッド達がいたし」
そう、襲われても全く怖くはなかったわ...どう考えても海賊の方が可哀想なくらいだったし...
「そうか、まぁ確かに」
シルヴィオお兄様はディビッド達の素性を知ってて悪魔を倒せるくらい強いのはよく分かってる筈よね。
お兄様はディビッド達に顔を向ける。
「バレンティナを守ってくれて感謝する...」
と深々と頭を下げるわ!お兄様!
「当然の事をしたまでですよシルヴィオ様」
いつもの様なニコニコ笑顔でディビッドはそう言うわ。
「...しかし海賊共いろいろ締め上げて話を聞かねぇとな...まだ残党がいたら一匹残らずイオーゼ海の藻屑に変えてやらねぇと...」
とお兄様は呟くわ...まぁ実際に藻屑にまではしないでしょうけど、見た目がカタギじゃないから冗談も冗談に聞こえないわよね...うん。
「...きっと海賊達の残党がいるなら浜で遊べないかもしれないわね...残念だわ...」
「え?」
と何気なく呟いた言葉にディビッドの顔色がみるみると青ざめるわ...もしかしてかなり楽しみにしてたのかしら...
───
その夜の事...
港に停泊している大型の商船...しかし実際は商船に見せかけた海賊の船である。
「何ぃ!ブラッディヘッドの妹を攫うどころか警備兵に全員捕まっただと???」
と金銀さまざまな財宝で悪趣味に飾られた船長室で大柄で黒い縮毛の髪と髭を伸ばした真っ赤なコートを羽織った男は怒りながらグラスを叩き落とす。
床には割れたガラスが飛び散りワインで濡れる。
「ジャコモ様...」
手下と思われる男がジャコモと呼ばれた大柄の男に怯えながら報告する。
「あれか?ブラッディヘッドかその配下にでもか?」
「いや...どうも他国の客人らしい3人の男が...一人は騎士で、もう一人が術士の子供...あと女が好みそうな顔の癖にやたらと脚技が強い男が...」
「は?兵士でも無い連中にか???」
「はい...」
「ふざけんな!兵士でも無い連中に倒されるとかどれだけ弱いんだ!!!」
その辺に置いてある置物を掴んで怯える男の近くに叩きつける。
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