最近わがままが過ぎる!

「ティナに会いたい...」


「お前また勝手に忍び込むつもりだろうが、流石に駄目だぞ」


拗ねてベッドに転がっているディビッドにマキシムはそう嗜めた。


「列車内でずっとべったりだったじゃないですか?」


ジョナサン(弱体化済み)は呆れ顔である。


「折角アルカンタル邸で泊まれる所まで漕ぎ着けたのに...あんなむさ苦しい連中に飲めもしないのに酒の席に付き合わされるし、酔っ払いに絡まれるしティナに会わないとやってられないですよ...」


「お前此処で泊まる件もサヴェリオ国王に頼みやがったのか????」


まさかの暴露にマキシムとジョナサンはドン引きである。


「もういっそティナのご家族に仲も認めて貰おうとも思ってたんですよ...」


「...呆れた...お前には前もった準備やら何やらしないで他国の高位の貴族令嬢をくれ!とか普通通じんぞ?確かにお前は教会内ではエステル様の次に偉い立場ではあるが、貴族社会のウルムでは通じないからな?」


ディビッドはトラウゴット教界隈内では預言者エステルの弟の立場で、ハイラントの系譜に繋がる尊ばれる存在ではあるが貴族ではないし、それこそそんなに大々的に公表出来る立場でも無い。


「ならウルムの貴族籍でも買ってしまえば...」


「それやったらエステル様が激怒して連れ戻されるぞ...それそこエステル様が直々に」


「う...この歳でそれされるのは嫌です...」


12の時の問答無用でバーレに連れていかれた事を思い出して青ざめるディビッド...あの姉ならやりかねない。


マキシムは思う、きっとあのサヴェリオ国王はディビッドの事を本気で気に入っているから、ウルムに残るならウルムの貴族籍...しかもそれなりな地位を簡単に与えるだろうし、貴族の令嬢の一人...バレンティナを差し出すくらいは平気でやりかねない。


そんな事したら国際問題にも発展しかねないし、何よりもエステル様が許す筈が無い...


「きっとお前とバレンティナ嬢が上手く結婚できる様に裏でエステル様が何とか手を回してるだろうし、ちゃんと時を待ってだな?」


「ううう...」


『ディビッドは嫁の事になると最近てんでダメだなぁ...特に最近わがままが酷いし...まぁ嫁が甘やかしたからつけ上がってるだけだろうけど』


ジョナサンはディビッドが甘やかすとつけ上がる性格なのは把握している。


「近い内にエステル様に伝えておくか...」


この男にまともに説教ができるのは、アルトマイヤー寺院の3大トップであるエステル様と教皇様とバーレ枢機卿のヘルムートの3人だけだ。


特にエステル様は身内だけあって容赦が無い...少しこいつに説教して貰うか...とマキシムは拗ねてるディビッドを見てそう思った。

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