封印式 その2
内部は以外と近代的な作りに改装されており、奥へ進むと一つの大きな扉の部屋にたどり着く。
そこにも警備兵が立っており、シルヴィオは話をし扉を開いて貰う。
部屋は広く執務室の様な作りで、そこには40代後半くらいの紫色の軍服を着た女性が座っていた。
全体的に白くなった髪は短く切り、瞳は燕脂色で眼光は鋭く、日に焼けやや浅黒い肌で化粧っ気は全くない。
胸の勲章から賢者の称号持ちかつ階級は大佐である事は分かる。
「ザナージ大佐、連れてきたぞ」
「アルカンタル侯ありがとうございます」
ザナージと呼ばれた女性は立ち上がり敬礼する。
女性にしては背が高い、きっと鍛えているせいか制服の腕や太腿部分がきつそうである。
「客人!ザナージ大佐だ、賢者の称号持ちで消失都市エルコラーロの結界の要だ」
「エリデ ザナージだ、ウルム国陸軍所属ベルガモ特殊部隊長をやっている、まぁここのトップと言った所だな」
「アルトマイヤー寺院所属、上級異端審問官『白の射手』ディビッド ザイオン バーレ...ウルム国王陛下の要請により派遣されました」
「同じく上級異端審問官『赤の剣』マキシマム ローエン アルトマン、此方は『黒の天秤』ジョナサン アンダーソン ワイズです、ワイズはウルム語が疎い為代わりに私が...」
それぞれそう言って頭を下げ、それに反応してジョナサンも慌てて頭を下げる。
「色男と仮面男に大男か...しかも司祭服にサーコートなんてなかなか古風な格好をしているな、客人」
ふ、とザナージは笑顔を見せる。
「神に仕える我々の正装はこれなので」
「まぁいい、王都からここまでの長旅疲れてるだろう?そこに腰をかけてくれ」
と大きなテーブルに備え付けのソファーに腰掛ける様に促す。
3人とシルヴィオは腰を掛けた後にザナージが4人に面する様に腰掛ける。
「陛下より聞いている、今回封印都市『エルコラーロ』内のアンドラス封印の強化に尽力して貰えるとの事だったな」
「ええ、此方を...」
とディビッドは以前バレンティナに見せた物と同じ封印式の構図を書いた紙を見せる。
「ほぅ...なかなか大掛かりなものじゃないか、100年は保ちそうだ」
賢者の称号持ちかつ、封印都市の結界を構築させているザナージはその封印式の構図の内容を瞬時に理解し関心する。
「ええ、そのつもりです...これを私を主にしジョナサンの補助を持って封印を構築します、もし必要ならば構図とその方法について詳細をお伝えしますよ」
ディビッドは柔かにそう言うとザナージはニヤリと笑う。
「有難いが人が良すぎじゃないか?」
この封印式を用いれば、今現在分かる範囲の悪魔が封じられている場所をそうそう解放されずに済む...本来なら政治的な話での交渉材料にもなるだろうにとザナージは思う。
「悪魔そのものを滅ぼす事...それが覆らない時点で我々の方が優位なんで」
とディビッドはニコニコと返答する...
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