故郷へ その7

そんなこんなで里帰りが大所帯で三日目の昼前にベルガモ駅に着いたわ...


それにしても結局ずっとディビッドは横にべったりだし、夜だって結局ベッドでずっとエッチな事一晩中...うう...これで変な事口に出さなきゃ良いけども。


列車から降り立つと、屋敷の者と一緒にパパが待っててくれたわ!


「パパ!」


「ティナ!お帰り!」


パパに抱きつく、いつ見ても童顔でお兄様より年下にも見えなくないパパ、ジャンマリオ...全く姿が変わってないわ...


「パパお兄様の邪魔になったりしてない?いつも何かやらかすんだもの!」


「ははは、大丈夫だよティナ、シルヴィオに釘刺されてるからね」


そんな風に笑うけど実際の所どうなのかしら...


ーその一方でそんな姿を他所に後ろで見てる3人。


『ディビッド嫁の親父さん?でいいんだよな?』


ジョナサンがエアヴァルド語でジャンマリオの姿を見て首を傾げながらそう言う。


確かに45歳なのにどう見ても20代いってるのかどうかすら怪しい童顔っぷりなのだ。


『最初見た時俺もそう思ったぞ...実の父親で間違いない...兄のシルヴィオの方が年上に見えるな...』


『兄ってあの血みどろでバールのようなものを振り回してたどう見てもカタギじゃねぇ恐ろしい奴だろ...髪と目しかおんなじ所ねぇじゃん、一体何処にあの凶悪な血が???』


闇オークションで血みどろでバールを持った姿しか知らないジョナサン。


『シルヴィオはブラッディヘッドの異名持ちで南ウルムの裏社会のドン...しかもサヴェリオ国王とも強い繋がりがある大物...あとアルカンタル家はその昔この辺一帯の海賊を武力で制圧した翡翠色の女傑ベロニカを大祖母に持つ貴族ですから本来はシルヴィオみたいなのが普通なんだと思いますよ』


「よぉ!久しぶりだなぁ」


そんな会話をしていると後ろから声がかかる。


噂のシルヴィオ アルカンタルである...いつもの様に白のストライプスーツに黒のシャツ、斜めに被った帽子とカタギに見えない雰囲気を醸し出す。


「シルヴィオ様ではないですか!」


ニコニコとディビッドは頭を下げる、シルヴィオはディビッドの近くまで来てポンと肩を叩く。


「いつ見ても女が好む顔しやがって...今回は例の消失都市の視察という事で陛下からわざわざ連絡が来てな、その期間は俺の屋敷に置いてやれという事で迎えに来てやったぞ、たたまぁ残念かもだが屋敷までは妹とは一緒じゃねぇ車に乗ってもらうぜ、お前達には一度軍の施設で説明もしねぇとだからな」


ニヤニヤとシルヴィオは笑いながらそう言うとややディビッドはガッカリな表情になる。


「マキシマム殿下もお久しぶりです、また再度手合わせさせて頂きたい所です」


「マキシムでいい...王弟とは言っても今の俺は教会の神殿騎士の立場だ...あともうあんな風にやり合うのはこりごりだ」


バールのようなもので剣の刃をひしゃげさせる程の力のシルヴィオとは手持ちの剣を壊されなねないし、本気を出せば命のやり取りをしかねないからなとマキシムは思う。


「はは!ではそうさせて頂く...でそこのちびっ子は???」


とジョナサンを指差すシルヴィオ。


「ち...ちびっ子????」


「ああ...こう見えて仲間なので」


ディビッドはジョナサンの頭をぽんぽん叩く。


「ちびっ子...」


その姿ではそう言われるのは当然だろうにショックを隠せないジョナサン。


「ふうん...じゃあお前達はこっちに来い、車を待たせてる」


とシルヴィオは案内する。


「ティナとは一時お別れですか...」


とディビッドは小さな声ぼやいた。


バレンティナは兄の姿に気がつき笑顔で手を振るので、シルヴィオも笑顔で振り返す...どうにも笑い顔が悪人っぽくて近くに居る人々の顔が引きつるが...


そうしてバレンティナとディビッド達は一時的に別れる事になる...バレンティナは父と馬車で屋敷へ、ディビッド達はまず軍施設へと向かうために。

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