故郷へ その5

レストランカー内はとても雰囲気の良い場所で、ジョナサンと面したテーブル席...ちなみにディビッド達はその隣の席で男2人で座ったわ...


「ジョナサン、ほらこうやってナイフを使うのよ」


順々に出される食事を一つずつ食べ方を丁寧に教えてあげるとちゃんと出来るんだからジョナサンってすごいと思うわ。


ただ何だか横からの視線が痛いくらいだけど...


「お肉美味しい!」


メインのステーキとても柔らかくて美味しいからかジョナサン目を輝かせているわね、子供服も相まって何だか可愛いらしい。


「ほら、ジョナサンもう少しゆっくり食べなきゃ」


食事のペースが早いから嗜めると素直に応じてゆっくり食べるわ。


「良かったわね、ジョナサン!」


「はい!」


きっと家庭教師なんてやってる所為かもだけど何だかこんなに素直な子なら教えがいあるわよね。


和やかな雰囲気で食事が進むわね...視線は痛いけど...


ーその一方


「何でこんなむさ苦しいマキシムと顔合わせて食事をしなきゃならないんだか...」


ムスッとしたディビッドはフォークを肉に何度も突き刺している...行儀が非常に宜しく無い。


「それ完全にバレンティナ嬢に対するお前の日頃の行いの所為だから」


綺麗な動作ではあるものの、肉の切り方が大き目で大きく口を開けて食べるマキシム、黙々と食事をしている。


「美味いな...肉食わないなら俺に寄越せ」


「嫌ですよ...」


そう言ってフォークで穴だらけにした肉をナイフで切って口に入れるも、ムスッとした顔は変わらないで、横のバレンティナへ視線を向ける。


何とも和やかな食事風景をジトッと見つめている。


「ニンジン食べてないぞ?」


マキシムがそう言うとディビッドは添え物のニンジンのグラッセをフォークで刺してマキシムの皿にヒョイと載せる。


「コラ!ニンジン苦手だからってこっちに寄越すな、ガキじゃあるまいし!」


「マキシムにガキと言われても別に良いですよ...」


ムスッとしたディビッドにマキシムはため息を吐く。


「ジョナサンが羨ましいとか思うなよ、 お前...どう考えてもお前と一緒の時間の方が多いんだし、さっきまでずーっとべったりだっただろ?」


マキシムはさっきまでずっとバレンティナの横を陣取り、肩やら腰やらに手を回して離さなかった上、隙あらばキスしようとしていたディビッドを嗜める...まぁ本人は反省などしないが。


「ティナとは夫婦なんだから普通は一緒にいるのが当然でしょう?」


「だからな?一般的には書面上の手続きもしてないし婚約やら結婚式だのしてない時点でお前等まだ夫婦じゃないから」


マキシムは呆れ顔でディビッドを見る...


まぁ等の本人はただジトッとバレンティナを見つめているのだが...


10年来の付き合いで、それなりに性格も把握はしてるもののなかなか厄介だなぁ、とマキシムは思った。

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