嫉妬深い恋人 その4

「ギャ!ギャ!目が覚めた!」


ピッピちゃんの声が聞こえるわ。


「あれ?私...」


「あああ...良かった...目が覚めてくれて...」


ピッピちゃんからエステルお姉様の声に変わるわ。


「あの馬鹿ティナちゃんに無茶な事をして全く動かなくなったから、私が回復を施したのだけど良かった...」


ああ...あの時気を失ったんだっけ...


「ディビッドは?」


「暫く反省させるわ!か弱いレディになんて事するのか!」


ピッピちゃん姿なエステルお姉様はカンカンになって怒ってらっしゃる。


よく見るとベッドも違うベッドだし、いつのまにか服もネグリジェに代わってて身体も綺麗になってる。


「本当にごめんなさい...真っ白で血の気も無くなった貴女を見て、もし貴女が死んでしまったらどうしようって...」


しょんぼりと頭を下げるピッピちゃん姿のお姉様。


「私倒れたの?」


「瀕死の状態になったティナちゃんを連れて泣きながら私に縋って来たのよ...何度も回復させても目覚めないって...無茶のレベルを超えてた...元々体力差があり過ぎるんですもの、本人がそう思って無くてもその力は凶器になるとずっと教え続けてたのに...本当にあの馬鹿は!」


「そうなの...」


「ティナちゃんは何も悪く無いの...ただどうしても他の男に対して嫉妬心やティナちゃんに対しての執着心が強く現れるのは、それこそハイラントに繋がる血故なのかもしれないわ...父も母に対してそうだったし...次世代を残す上での本能に近い感情なのかもしれない...あんな姿見た事無かったもの、いつもニコニコと飄々としてて、イマイチ掴みどころの無い子だったから」


「子供が欲しいって言ってたのも?」


「そんな事言ってたの!...でもそうかもしれないわね...」


「ところでお姉様...ずっと言われている『ハイラント』って」


「そうね...知っておいた方が良いわよね、私とディビッドの血...その先にある『ハイラント』に繋がる話を...」


ピッピちゃんの姿がエステルお姉様に変化し、話し始めたわ。


───

※瀕死の原因は強く抱きしめすぎた為の窒息。腹上死では無いと...うん...

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