お前は?????

鎖の拘束を更に強めると男達は答えようとするも、うううと苦しみだす。


「...暗示かしら???」


その男達に近づこうとしたら急に後ろから拘束されるわ!


「!!!!」


『アハハ!お久しぶりですネ!お嬢さン!』


「!」


その声は...間違いなく例の男だわ!


振り向くとそこには腰まで伸ばしたプラチナブロンドと、深い藍色の瞳を持つ黒いシルクハットと燕尾服を着た美しくもキザったらしい存在...『明けの明星 リュシフェル』が!!!!


「リュシフェル...」


拘束されたら術が解かれて男達が此方にやって来た。


『さっきの娘には逃げられましたガ、代わりになりませンか?』


「ああ...術式を使えるし....何より珍しい緑髪の美女だ、さっきの女より『商品』として価値があるんじゃないか?」


「ああ...確かになぁ」


え?『商品』って何?まさか売られちゃうのかしら???不味いわ!


「このっ!」


頑張って手足をバタつかせて暴れるけど、リュシフェルの力には敵わない。


『大人しくしテ下さいナ』


首を締め付けられて苦しい...気が遠くなるわ...うう...どうか...さっきの子...お兄様に伝えてくれれば...


気を失う瞬間...あの大好きな笑顔を思い浮かべる...


...助けて...ディビッド...



───


「こっちです!」


逃げ出した女の子は憲兵を連れて来るも誰もいない...でも本とロッドと紐が落ちている。


「これは...」


憲兵がロッドを拾う、細身の白銀のもの...学園出身者で術式を学んでいた者が持つタイプ...大概が貴族の子息令嬢が大半のはず...


「私を助けてくれた子...緑の髪で...アルカンタル侯がって...」


「え!アルカンタル侯爵家のか!」


と青ざめる憲兵達。


「即刻上に伝えた方がいい...人攫いも馬鹿な事を...貴族を攫うなんて死罪が決定されるようなものなのに...しかもよりにもよってあのシルヴィオ様の妹君を...」


「確か今王都にいるらしいじゃないか...例の『同窓会』の関係で...」


「マジか...王都に血の雨が降るかもな」


ウルムの伯爵以上の上位貴族の権限の一つに『臣民を守る為、犯罪行為に対して、自らの手による制裁を加える権限』がある。


つまり犯罪行為を行う者に、上位貴族は処刑を自ら手で行って良いという意味だ。


憲兵達も多少は知っている、裏社会の噂『ブラッディヘッド』の異名を持つ、南ウルムの裏社会のドンと専らの噂のシルヴィオ アルカンタルは、仁義を重んじ人道を外れた行為を絶対に許さない男でもある...処刑だけでは済まない事は、憲兵達は簡単に頭に過った...

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