家庭教師はじめましたわ!
『という訳で貴方にウルム語をちゃんと話せるように2週間の間に教える事になったから、ジョナサン』
『別に俺は話せなくてもここで籠っての仕事ができるし...』
そう言ってジョナサンはディビッドの銃の手入れをしているわ...聞いてはいたけど本当に引きこもりっぽいわね...ならば...
『スザンナとちゃんとお話したいと思わない?』
『する!2週間で覚える!本気出す!』
急にこちらを向いてすると言い出す...現金な子ねぇ...
『じゃあまずジョナサン、貴方の知識がどこまでなのか確認させてね』
と絵本を渡す。
『はぁ???』
『ヨルクの冒険、馴染み深い話でしょ?』
魚に飲まれたヨルクの話はトラウゴット教の1つの話でウルムでも絵本も多くある。
『じゃあこれを朗読して』
『はぁぁ????』
『スザンナとお話したいんでしょ?』
『はいっ!』
そう言ってジョナサンは絵本を開いて朗読し始めたわ。
──
「そし...て?ヨルクは、おおきな...さかな???にのみこまれ????」
頭を傾げながらウルム語で懸命に朗読するけど...単語自体もわかるっぽいけど...発音がねぇ...発音だけ???
ふと思って更に一冊の本を出す、ウルムの歴史学書それこそ学園時代使っていた教科書をジョナサンに渡す。
『これをエアヴァルド語で訳して読んでみて?』
そうするとすらすらとエアヴァルド語に訳して読んでしまう...しかも間違いが全く無い。
『ジョナサン!貴方ウルム語自体は単語も文法もわかるじゃない!何で話せないのよ!!!』
こんな難しい文法とか面倒な言い回しが書いてあるのにわかるとか何、何で話せないのよ???
『書いてある文章や単語は見れば一瞬でパッとわかるんだよ...ウルム語の文法とかわかんねぇと術式勉強できねぇしさぁ、ただ喋り言葉とか発音がうまくいかねぇし...俺ロストック訛りも激しいから、まぁ術式構築させるのだけは意味は兎も角言葉をそのまんま暗記してやってるだけだし』
『あーなるほど...』
もしかするとちょっと厄介な感じなのかしら...
『じゃあこうなったら発音練習メインね...その絵本すらすら朗読できるまで特訓ね』
『えええ』
「はい!ここからエアヴァルド語禁止!」
そうやって絵本をとにかく何度も何度も何度も朗読させたわ...発音を教えながら何とか1ページ目はそれなりにイントネーションがおかしいけど朗読させる事には成功させたわ...
───
「ヨルクはみなとへいきました、ふねにのってとおくへとおくへにげるためです。」
ジョナサンが何とか2ページ目の最後の文をつっかえなく読みきったわ!
「だいぶすらすら読めるようになったわね」
「よめてる?」
「ええ、だいぶね」
まだまだ改善の余地はあるけどまぁ頑張ったわよね!
「ぼく...はやく...スザンナさんと...おはなししたい」
「まぁもうちょっと頑張ってお話できるようになったらね」
なんだか凄い執念ねぇ...エアヴァルド人ってこんなに色恋沙汰に左右されがちな人が多いのかしら...
まぁスザンナは可愛いから...ただこんな口の悪い子って言うのが...まぁせめてウルム語だけは綺麗な言葉にさせなきゃ...
「ティナ!ひと休みしませんか?お菓子とお茶用意しましたので」
と笑顔でディビッドが部屋に入ってくるわ、トレーには美味しそうなパンナコッタとアイスティーを乗せてる!
「ジョナサンどうです?なかなか梃子摺ってません?」
そう言ってテーブルにトレーを置いて自分も椅子に座る。
「発音とかちゃんとすれば普通に話せそうなんだけど...だって結構難しい本をエアヴァルド語ですらすら読めるのに」
「まぁ頭が良くてプライド高い分、苦手なものに積極的じゃないせいですねぇ」
「なに?ぼくのこといってるのですか?」
とジョナサンは訝しげな顔でディビッドを見てるわ。
『エアヴァルド語話さないのか?』
ディビッドはエアヴァルド語でジョナサンに問いかける。
「今はエアヴァルド語禁止してるのよディビッド、馴染みのある言葉に甘えちゃうし、ウルム語話す時くらい綺麗な言葉を使わせたいから」
「そうですか、なんだか綺麗な言葉しか話さないジョナサンはジョナサンじゃないみたいですね...くくっ」
「わらうのはしつれいです!」
ジョナサンが知っているウルム語でなんとか抗議するもそれがディビッドのツボに入ってしまったらしくて爆笑してしまうわ!
「あはははっ!すみません、あのジョナサンがっ...」
「もう!ディビッド、失礼よ!」
「そうです!」
ディビッドは更にツボに入ってしまったせいでなかなか笑いが止まらずに終わってしまったわ...もう...
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