名案????

ダリオはお兄様と一緒に同窓会に参加する為に王都へ来たそうなのだけど、お兄様が余計な気を回してダリオをその間タウンハウスで生活すればいいと誘って2週間ここで寝泊まりする事になったわ...


何だか憂鬱だわね...とぼんやりベッドで寝転がり天井を見つめる。


出来れば暫く街に出歩こうかしら...何かダリオと一緒なのが嫌なのよね...


「どうしようかしら...」


そんな事を呟くとコツコツとノック音が...むくりと起き上がるとバルコニーにディビッドが笑顔で立って待っていたわ!


「ディビッド!」


カチャリとバルコニーの扉を開けて入って来るわ!おかしいわね...確か鍵を術式でいじって簡単に入れないようにしたのに!


「ティナ、すみません!どうしても誤解を解きたくて」


「って鍵!鍵なんで外せるの???」


「あーそのくらいならね」


と言ってるけども!結構複雑な術式組んだ筈だしディビッドは司祭だから解除...はっ!


「ジョナサンね...」


「まぁご名答ですね」


そう言って許してもいないのに部屋に入ってベッドの端に座る。


「もう!今日はダメよ!お兄様とお客様がいるから!」


抱きつこうとするもそう言って拒否するわ!


「お客様?」


「お兄様のお友達よ...彼はアークメイジの称号持ちで軍人だから認識阻害術も見抜いちゃうし...大概夜には付き合いで話とかで誘われそうだし」


そう言ってため息を吐く。


「む...男ですか」


ディビッドは眉を顰める...もう嫉妬深いんだから。


「何も無いわよ...ダリオの事だけど私彼の事苦手なのよ...何か蛇に睨まれてるような感じで」


あの目を思い出すと背筋がゾワっとする...


「ティナ?大丈夫?」


「ええ...ちょっとね」


心配そうな顔でディビッドは肩を抱く。


「お兄様と一緒なのは嬉しいけど、日中は仕事で出かける事があるから、出来れば2週間日中はここに居たくないのよ...ダリオと同じ屋敷内に二人で居たくないの...」


「じゃあ私の所に来ますか?」


「でも貴方パティシエの仕事があるでしょ?」


きっと一緒に居てくれそうだけど流石に表の仕事に支障が出るのは良くないと思うし...それに毎日エッチな事されそうだし...


「そうですねぇ...あ!それならお願いして欲しい事があるんです!」


いいことを思いついたとディビッドは笑顔をこちらに向けるわ!


「え?」


「ジョナサンまともにウルム語話せないので、エアヴァルド語も分かるティナにぜひウルム語話せるように特訓してもらって良いですか」


「特訓?」


ああ、なら良い時間潰しになりそうね...でもあの子大丈夫かしら...


「美味しいデザートもちゃんと用意しますよ」


「そうね...ならそうしようかしら」


知り合いの子の勉強を見てあげるって名目だし、それなら屋敷にいなくてもそんなに怪しまれなさそうだし、なんならスザンナも一緒って伝えておけば心配されなさそうだし...


「という訳でちょっとの時間だけ...」


と言って許してもいないのにそのままキスしてベッドにぼすんと二人で倒れこむ!


クチュクチュと舌を絡ませてくるキスをしたまま太腿に手を滑らせてくるわ!


「ダメよぉ!今日はきっとすぐにお兄様達が呼びに来るのにぃ...」


それでもディビッドはまたキスを始めて辞めない...いつのまにかパンツもスルッと取り去られちゃった...ああ...頭が真っ白になっちゃう...


唇を離すと耳元で囁かれる...低くて甘い声...


「本当は離したくない...ティナに色目を向けてくる男と2週間も同じ屋根の下にいるなんて耐えられない...」


「ディビッド...」


「ティナ...好きだから...誰よりも好きだから...愛しているから...絶対に他の男に靡かないで...」


ぎゅうっとディビッドが更に強く抱きしめる...そんな事言わなくてもディビッド...貴方だけよ...私が好きなのは...


ダリオみたいな男になんて嫉妬しなくてもいいのに...


少しの時間だけそうやって甘い時間を過ごしたわ...


───


「お嬢様!お嬢様、若旦那様がお呼びですよ!」


ベッドで二人で抱き合っている時、ピエトロの声がドアの向こうから聞こえるわ!


「ピエトロ、ちょっと待ってって伝えて!」


「着替えですか?ならメイドを呼びましょうか?」


「私一人で大丈夫だから」


そんな会話をしているとディビッドが首筋にキスをしてくる、痛っ!


「分かりました、そのようにお伝えしますね」


そう言ってピエトロは去っていったと思うわ。


「もう準備していかなきゃ...」


名残り惜しくてもう一度だけぎゅっとディビッドの胸にしがみつく...服を着ているとわからないけど鍛えられていて厚い胸板が服越しでわかるの...その行動にディビッドも抱きしめてくれる...


短い抱擁の後にスッと身体を離してそのままディビッドがバルコニーへ足を運ぶ。


「...じゃあ明日待ってますので」


にこやかな顔でバルコニーの扉を開いていつものように飛び降りていくわ...


いつもの様に見送る...私だって離れたくはないのよ?


部屋に戻って服を整えようとふと姿見の鏡を見てびっくりする!


「やだ!こんな所に...」


さっきキスされた首筋の場所がくっきりと赤い...これ隠す服に着替えなきゃ!


それにパンツ!脱がされた後何処にいったのか周囲にないわ!


「む...これ」


白いハンカチが一枚ベッドの上に落ちている...


「間違って持って行っちゃったのかしら???」


────


ディビッドはフィオーレ・ビアンコの2階の自室に戻ると椅子に座って不貞腐れた顔のジョナサンがいる。


『どこ行ってたんだよ、飯ねぇの?』


『自分で作って食べるって発想はないんですか?』


『今日やっとこここに辿り着いた俺にそれ言う???お前がどっか行く前に大急ぎで術式無効の鍵作らされた俺に?』


『全く...まぁ今から作りますので待ってて下さい』


まぁ自分の分も作るしいいかと思いながら上着を脱ぐとポケットから何か白い物が落ちる。


『ん?なんか落ちたぞって!お前コレ!!!!』


ジョナサンは真っ赤になる、おっとこれは...


『ティナのパンツ...ですねぇ...間違って持って帰ってしまったみたいですね』


ディビッドはそれを拾うとヒョイとズボンのポケットに仕舞い込む。


『はぁ?まさかお前らマジで出来てんのかよ!』


『そりゃあ婚姻の契り印を結んだ仲ですし、夫婦ですから』


と笑顔で左の薬指に表れている印を見せる。


『うわぁ...』


まぁきっとコイツなら相手に知らせずに印を結んだだろうな...絶対とジョナサンは確信する、昔からそうだったからだ、しかもさっきのパンツだってそうは言ってるが実際の所分からないぞ、と思う。


あーあ、ディビッドの嫁可哀想にこんな奴に好かれちゃあ大変だろうに...とジョナサンは心底そう思った。




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