第72話 2歳編⑥
階段を降りても、まだ洞窟っぽい空間だった。
また、スライムの精神攻撃?(されてません。こっちが勝手に疲弊しただけだよ。)と、ちょっとげんなりしたけど、この階で最初に遭遇したのは、羽ばたき音だった。
うわぁ、でっかいコウモリだ。風魔法でサクサクっと、倒しながら進む。
剣士組は小さな魔石の粒を見つけられる範囲で拾いながら、すすんでいく。
あ、モグラが出た。
シュパッ。
うわぁ、地面がぬかるんで、手がおいでおいでしてる。
シュパッ。
今度は岩に顔が!
ドバン!
包帯だらけのミイラ?
サクッ!
チーターみたいな獣?あ、熊もいる。
シュパッ、サクッ、ドン!
・
・
・
・
てなぐあいで、瞬殺。
どれもこれもどこかで見たような魔物たち。
これが延々10階層ぐらい続いたよ。
ひいじいさん、ゲーム好きだったのかな。他の人たちは、初見以外はただただ作業と化してたけど、僕はちょっと楽しかった。なんかゲームの世界に入り込んだみたいで、良い感じのアトラクション?
ついでに、剣のお稽古をしつつの、かなりテンションが上がった行程でした。
ちょいちょい休憩を挟みながらの行程。でも、休憩は危険。気がつくと僕は寝落ちしているみたいで、おしゃべりしていたはずが、次の瞬間には何故か戦闘中、なんてことも・・・うーん、なんとかならないかな、2歳ボディ。
まぁ、こんな感じでサクサク進み、そろそろ夜だね、といったところで12階。夜は野営か帰宅か。全員一致の帰宅でした。景色変わらず、ただ歩くだけ、に近いから、夕食だけでも好奇心を満たしたい、とのことだったけど、新種の魔物にあれだけ騒いでいたのどなたでしたっけ?
まぁ、おいしいご飯は正義です。12階まで降りて、未だ宝箱らしきものも、罠とかも遭遇せずだし、精神的に疲れたね。今晩のご飯を想像しつつ、ママのペンダントで最下層へ移転です。ちなみに、ダンジョン内移転はよくある不思議技術で、珍しくないとのことと。当然、ナッタジ・ダンジョンでも採用されていて、ママのもらった魔導具は、前回使った場所に飛ぶ、という機能があるんだって。明日、この魔導具を使ったら、今日使ったところに戻るから、周りをチェックして、広く安全そうな所で使わないとね。
翌日。
15階までは、同じ感じでした。
魔法を使うやつとか、固すぎる奴、とか、雲みたいな、とか、まぁ、ちょっとひねったタイプが増えてきた、ぐらいの感じ?でもやっぱり見つからないね、宝箱。
と思ってたら、16階。
ありましたよ、宝箱。
階段降りてすぐが大きめの部屋になっている。
で、そこに、足の踏み場もないぐらい、宝箱が!
6個じゃきかないよね、これ。
宝箱が、20×30個マイナスすることの一部欠けてる、感じ?全面あったら100倍か。まあ、所々欠けてるから、じっさいは500個ぐらい?数えたわけじゃけど。
これ片っ端から開けるの?
鍵ついてるのもあるよ。
木の宝箱、金属の宝箱。大きいの、小さいの。ふたが平らなのもあれば、まさに宝箱なドーム型のもある。よくよく見れば、オフィスにピッタリ手持ち金庫じゃない?とか千両箱だよねとか、そんなのもあるし・・・
明らかにうんざりした顔のみんな。
「手分けして、開けましょう。私は鍵付きを担当します。」
ヨシュ兄、さらっと鍵開けできるよ宣言して、歩いて行ったよ。
「ちょっと待って!罠、注意だよ。あと、宝箱のふりするミミックもいるからね。」
僕の言葉に、軽く手をヒラヒラと振って、さっそく作業開始。
パカッ
空っぽ。
ハハハ、全部空っぽだったりして?
「みんな、ダーの言ったことに注意しつつ、片っ端から開けてくぞ。」
ゴーダンののんびりした声に、みんな渋々作業開始、です。
で、1時間ほど経過しました。
7人で約500個。単純に一人70個ほど。1個1分でも、ねぇ。
ひたすら開けまくり、しまいには解錠て何?状態で、物理でこじ開けて、やっとゴールが見えてきたよ。
で、成果です。
木の棒12本。寿司桶のふたみたいなの(たぶん防具鍋のふた、のつもりなんだろうね)9個。砂粒状の魔石が入った瓶2個。以上。
あと、まだちょっと宝箱は残っている。
残り福、あるかなぁ。
ハハハ。僕、もう、ダメ。
座り込んでみんなの作業を見守ってます。
ぼーっと見てると、セイ兄が黒いどこかで見たような箱を開けるところ。
漆塗りの箱。ヒモで留めてる?あ、あの形・・・
セイ兄は、ヒモをほどいてふたを持ち上げる。
パフッ
白い、煙。え、あれって・・・
みんな一斉にセイ兄を見た。
えぇー
煙から出てきたセイ兄の髪。
真っ白になってて・・・
セイ兄、おじいちゃんになっちゃった!
びっくりして、みんなセイ兄のところに走り寄る。一人を除いて。
「それ、ほっときゃ元に戻るから。とりあえず、もうちょいだから、全部開けるぞ。ここが終わったら、隠れ家に戻る。あ、ラッセイ、人によるがそれ2,3日そのままだから。ラッセイが元に戻るまで、休暇だな。」
結局、その後の宝箱も空っぽ。
ただ、ただ疲れただけだったよ。
そして、セイ兄が元に戻るまでの3日間、僕は、ゆっくり、見たかった城の図書室にこもりました。ここは、主に魔物の生態が書かれてたり、この世界の歴史が、物語も含めて集められてるみたい。魔物の数は星の数とも言われてて、日々進化というか特異化するから、きりがない。でもまあ、有名なのだったり、原型から進化とか、そんなものでよく知られているのもある。そんな魔物を体系化して説明した本から、この世界の伝説の魔物の解説書とかまで、玉石混淆、すごい数だね。
そんな中から、僕はとりあえず、今、この国に生息している魔物の解説書とか図鑑みたいな本を片っ端から斜め読み。
でもね。これが出来たのはローディのおかげかな。こんな本読みたい、て言うと、どこからともなく探し出してくれる。
だって、この図書館、膨大な数の本が無秩序に並んでるんだもの、探しようがないよ。
そう言ったら、
「先代は、このままでいい。自分なりに配置してるから。と仰っていました。先代が亡くなった後は、私どもで本棚に並べましたが、当時は床が見えないほどでしたよ。」
だって。
天才にありがちの、お片付けダメな人、だよねぇ。あちこちに隠れ家つくって、種類ごとに配置したの、ぎりぎりのお片付け方法だったんじゃないか、僕はそんな風に推測してしまったよ。
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