第39話 1歳半編④
2日後、ミランダさんとヨシュアさんが合流しました。
二人はギルドにほど近い場所に拠点を構えていて、僕らは、そこで、寝泊まりしていたんだ。小さいけど、一軒家。もともとは、宿屋だったようで、小さな部屋がいくつもあるから、みんな個室がもらえるよ。僕は、ママと一緒だけどね。
合流までの2日間は、みんなでお買い物。僕たちが来るのは決まってたみたいで、食器や寝具は用意してくれてたけど、服とか冒険者用の装備とかを購入したんだ。後は食材もね。いつ帰るかわからないから、ほとんど食材は置いていなかったし、調理器具もほとんどなかったのは、ほぼ自炊をしてなかったってことだよね。でも、冒険者で自炊する人は少ないらしい。特に独身だと、食堂や屋台で食べ物調達が普通なんだって。お弁当屋さんみたいな商売も、かなりの数あるので、これは冒険者に限らないのかもしれないけどね。
無事二人が拠点に帰ってきて、まずやったのは、報告会です。僕まで冒険者見習いになったことには、二人とも驚いていたよ。ゴーダンのおっさんは、
「こいつが迷子になっても、ギルドカード見せれば、俺の名前を見て、丁寧に保護してくれるハズ。ていのいい迷子札だよ。」
て、笑ってたけど、僕のこと鍛える気まんまんだよね。お手柔らかにお願いします・・・
とりあえずメンバー全員で、パーティ組むことは決定事項。ゴーダン&アンナの名前は伊達じゃない。何か問題が起こった時に、後ろ盾がハッキリしているのは、保険になる。パーティでの依頼達成がカードに把握されるから、ランクアップにも役立つしね。ランクっていうのは、強さもそうだけど信用の証し。これが役に立つのは、特に移動時なんだって。ランクは、見習いを除き、FからA。一応Sという設定はあるけど、これってあんまり良くないんだって。
Fは、成り立て。仕事をやりたいという気持ちはありますよ、という意味。
Eは、そこそこ、お役に立ちますよ。
Dでやっと、ギルドが把握してる人材です。
Cは、個人レベルの依頼達成を、保証します。
Bは、街(や村)レベルの困難にも対応できます。
Aは、国難に立ち向かえます。
Sになると、強過ぎてアンタッチャブルです。ギルドでは、手綱を握れません、と、なっちゃうらしい。
移動との関係でいうと、ギルドカードを見せて、調査なしに無料で入れるのが、レベルによって決まるというところ。この世界では、全部ではないけど、国があってその下に領、そして町や村となっているんだ。ギルドカードには○○国△△領□□町冒険者ギルド所属、と記される。ギルドカードを持っていれば□□町への出入りは自由。D以上なら△△領内の町や村への出入り自由。C以上で○○国内の町や村へ出入り自由。B以上なら、ギルドのある全ての国家への出入りが自由となる。ちなみに見習いは、ボス冒険者と一緒なら、ボス冒険者と同様の移動の自由が与えられるんだ。
蛇足ながら、拠点を移すときは、ギルドも移籍しないと、下位ランクだと、入場の度にお金がいるから、要注意だよ。
そして、これにも裏技。パーティが同じ人が一緒にいたら、一番ランクの高い人と同じ入場サービスが受けられます!
僕らがパーティを組む一番の利点はこれのようです。有名人と思ってたけど、アンがBランク、ゴーダンに至ってはAランクらしい。道理で騒がれるハズだね。ちなみにAランクは全世界で100人もいないらしい・・・
こんな感じで、僕らはパーティを組む予定だけど、実は、ちょっとばかり問題がある。パーティには、パーティ名が必要だってこと。だって「夢の傀儡」だよ?ゴーダンたちの旧パーティ名!恥ずかしくて名乗れないよ、て言ったらゴーダンから拳骨が降ってきた。しかもラッセイには、延々とその素晴らしさを語られるし・・・
こっちの世界では、これは黒歴史にならないんだろうか・・・
いずれにしても、ラッセイも夢の傀儡を使うのは反対のようだ。彼の場合は、畏れ多い、というのがその理由だけどね。また、こんなビッグネーム(まさかの兵士たちの共通認識だった!)だと、目立ち過ぎるということで、別名を考えることになった。結論はまだ出てない。けど、恥ずかしくない名前を付けて欲しいよね。
だけどさぁ、世界で100人もいないA級ライセンスを持った冒険者が、1歳半の子どもを自分の見習いにするだけで、十分目立ってる、と、思うのは、僕だけなんだろうか?
こんな感じで、ランクやパーティのことを教えられながらの報告会は、次の議題へ。
肝心の調査状況はどうなっているのかの報告へ移ります。
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