第37話 1歳半編②
一月に一度、ゴーダンは、ミランダ・ヨシュア組に会うため、約1週間かけてお出かけする。
そんな日は狩りはお休み。
アン先生のお勉強の時間です。
このほかにも、夜からとか、雨の日とかもお勉強の時間があるけど、まとまってとれるこの時間は貴重。夜は僕は、眠くなっちゃうしね。
生徒はメインにママ。ラッセイもお勉強、とくに算数が苦手なので、一緒にさせられてる。そして僕。アン先生、僕は、お飾りで座ってるだけと思ってるけど、実は必死。さすがに算数は、アン先生より上だけどね。僕が学びたいのは文字。よくある転生ものみたく、言葉も文字も日本語で読める!なんてチートは、この世界にはなかった。言葉も必死で覚えたし(念話チートはあったので、自動対訳で随分助かったけど)、文字は今、横から勉強中。
ゴーダンが口添えしてくれて、夜の勉強時間に算数、雨の日やこんな長いお勉強の日の昼間に文字のお勉強、というスケジュールになった。
お勉強の時に使うのはノートや黒板替わりに、木の板。鉛筆やチョーク替わりに、薪で火をおこしたあとに残る墨。これらは、僕がゴーダンに作ってもらった。昔アンにもやった、ママ以外にも精霊様が話しかける、というのが役に立ったよ。勝手にゴーダンが精霊様から直接教わったということになったんだ。その後ラッセイが大変だったけどね。なんたってラッセイはゴーダン達の大ファン。さすがゴーダンさん、精霊様に認められてるんですね!と目をキラキラさせたり、僕にもお告げを!とか言いながらヘンな踊りやお祈りをしたり、しばらく大騒ぎが続いたよ。
それにしても、ラッセイは本当に数字が苦手だ。なんで70ギル購入して100ギルのお釣りの計算ができないのかな?ママは家畜小屋時代からできてたよ。なんたって僕が教えたんだ。加算方式だけどね。知ってる?前世の話だけど、僕の住んでたのとは別の国の話。計算が得意じゃない人が多いのか、そこでのお釣りの数え方が簡単。僕の国じゃ100引く70は30て、計算するけど、加算方式だと、例えば円だとして、70円と言ってから、10円硬貨を1枚ずつ数えながら出すんだ。80円、90円、100円てね。出した硬貨をみるとあら不思議。30円で正解!ていう感じ。ママは13歳ですぐにこれをマスターできたよ。でも18歳のラッセイ君、なんで理解できない?
ちなみにアン先生、これが一般にお釣りの時に数える数え方だ、よく知ってたね、と、ママを褒めてました。お師様に教えてもらった、て、言うのを聞いて、ラッセイ君、神(精霊?)頼みに切り替えたけど、そんなの知らないよ、僕。
一応引き算の計算もあるようです。商人には掛け算や割り算ができる人もいる。これらは高等教育なので、普通の人は学ばないとか。でも、アン先生、ママをナッタジ商会の会頭にするという夢があります。ということで、アン先生の授業は四則計算すべて入ります。ラッセイ君、ご愁傷様。
この世界、掛け算はあるけど、九九はないみたい。ママがお洗濯してるときに、トトンガトンの繰り返しみたいな陽気な曲を歌っていたので、それに合わせて、九九を歌ってあげた。精霊様に教えてもらった、ということにして、歌ってたら、ママもしっかり九九を覚えました。この世界ではすごいアドバンテージあるんだよね。さらに水をあけられたラッセイ君。一応教えてあげたけど、覚えないんだもん。
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