第50話
《要》
俺は、変化に順応な方じゃない。
風景の変わらない通学路は落ち着くし、部屋を与えられた小学校から今まで、部屋の模様替えは一切したことがない。
それくらい、変化に弱いし、変化なんていらないと思う。
そう言うと俊二や宮は、カノジョが変わることに対しての弁解を求めるが、人との関係はそういうものじゃないだろう。
でも、あえて同じだと想定して、例えるなら。
席替えと、同じ。若干の違和感に居心地の悪さを感じる、あの感覚と同じ。
でもなぜか、今、席が無くなったような、そんな物足りなさを感じている。
「なんか、最近、和泉の顔見ないよね」
朝練を終えて、着替えながら、最近の違和感を俊二と宮に相談した。直己はキャプテンと体育館に残っていた。コーチや顧問と、引き継ぎの話をしているんだと思う。
「そうか?」
「普通じゃね?」
俊二は上から、宮は下から着替え始める。
「でも、しゃべってない気もするんだよね」
俺はTシャツを脱いで、畳んでスポーツバッグにしまう。バッグの横に置いていた着替えを手に取り、被る。
「まあ、お互いに相手いるしな」
「今までがおかしかったんじゃね?」
ズボンを履きながら生返事をすると、今まで横並びで着替えながら、着替えに集中していた二人が、一斉にこちらを見た。
「もしかして、お前ら」
「今までうまくいかなかった理由、それじゃねぇの?」
二人が服を持ったまま動きを止めたのを、横目に確認する。シャツを羽織ってボタンを止めながら、考える。
「それは関係ないでしょ」
俺の言葉に、二人はなぜか顔を見合わせた。
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