第20話


《要》


 朝は弱い。本当は。

 朝練の時は母親なり、父親なり、たまにカノジョに、起こしてもらう。

 俊二や直己に起こしてもらってたときもあるけれど、

 すぐに放り出された。

 今では大事な大会のときにしか、二人からの連絡はない。

 和泉が起こしに来てくれていたときもあるけど、

 それは中二まで。

 カノジョができてから、和泉が俺の部屋にくることはなくなった。




 玄関を出ると、和泉の家の前に、なぜか直己が居た。

 考える必要はなく、その理由は分かった。


「迎えに来たの?」

「ああ」


 直己にとってここは通り道だっただろうか。近くは近くだったけど、別方向だった気がする。

 わざわざ来たのか。


「テスト期間なのに凄いね」

「そんなことない」


 視線を反らした直己の後ろを通りすぎる。眠気に、あくびがこぼれた。

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