第14話


《要》


 男子は女子の話をするとき、

 相手がどこの誰だろうと、下心から見て、話をする。

 女に幻想を持っているし、どんなときでも綺麗でいて欲しいと思う。

 女子もそれを知ってか、いつも綺麗でいようとしてくれる。

 今まで付き合ってきたカノジョがそうだったから、

 これは間違いないと思う。

 それで男子は。

 女子と話ていると、気があるのかという目で見てくる。

 高校生になったら、なおさら。

 それを俺は、正直、嫌だと思う。 




「ひゃぁっ!」


  廊下で友達と駄弁っていると、女子生徒とぶつかった。二つ結びの彼女は、手に持っていただろうプリントを盛大にぶちまけていた。 


「大丈夫?」

「は、はい」


 尻餅をついた彼女に手を伸ばすと、顔を真っ赤にしてプリントを集め始めた。僕も手を引っ込めて、プリント集めを手伝う。一年生の課題プリントだった。


「はい、これ」

「あ、ありがとうございます」


 拾ったプリントを手渡すと、彼女は真っ赤になって走り去っていった。


「なにお前、また口説いてんの?」


 ただ突っ立っていただけの友達が、嬉々としてからかってくる。


「人助けだよ」

「わぁ、当人がそれ言っちゃうと、作為的なものを感じるな」

「違うから。ほんとなんなの、お前ら」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る