▲▲つ4っ!けんせんっ!

 「モンスターと斬り合うし、スフィアから大量にエネルギーを取り込もうとするし、とにかく、ほんとっ!とにかく、あなたは危険なことばかりして!!それじゃ、命がいくつあっても足りないわ!!!」 

 「?!……ええと逆にマフィン、俺のこと心配してる?」

 続けてくるが。

 よくよく聞くと、自分のことよりも俺のことを心配しているような。 

 そうなると、つい聞いてしまう。

 むしろ、俺は、自分が怖いのだと言いそうなものなのに。

 「当ったり前でしょう!!!!私は村長の孫娘なのよ?!村の人のことだって、自分のことのように心配するわ!!」

 「……あぁ!その、何だか、ごめん。あと、何だかありがとう?」

 「……もぅ!!」

 火に油を注いじゃったね。

 マフィンは余計に怒って。その勢いに俺は、つい頭を下げ、加えてお礼も言った。

 その態度に、マフィンは呆れて、溜息吐いて、腕組み。

 心配だからこそと、態度に表した。

 「……はぁぁ。って、言ってもあなただしね……。」 

 「!!」

 そうして、心配したのだがと、マフィンはやがて、呆れの溜息を吐く。

 それは、過去の俺のことを思い返してのことだろう。

 今まで心配掛けても、だけどいつもやって。

 それを繰り返したら、こういう風になってしまった。

 頭を抱えては、軽く悩んでもいる。 

 「ええと、何だかごめんよ。」 

 いたたまれなくなり、俺はまたも頭を下げる。 

 「……もういいわ。……それに……。」

 「!」

 頭を上げると、マフィンは呆れながらであるが、言い切りが気になり、見る。 

 「……まあ、あなたらしいし、おかげで、緊張が解けたかもね。」

 「!」

 そっと、マフィンは笑みを口元に蓄えていて。

 そこには、確かにさっきの恐怖は見受けられない。

 「……っと、大分遅くなったわね。それじゃ、始めましょう。」

 「!……だね。」

 それからマフィンは、気を取り直したと伺えて。 

 頷くなら、始めようとも。

 気付いて俺は、意味することに頷いて、またレーセを持つ。

 マフィンも持ち直して。

 「……じゃあ、今までのおさらいを!基本からね。」

 「ああ。」 

 レーセの訓練、ようやく始めて。

 マフィンは言って、始めようとレーセを構え直して。

 基本ということに、俺は頷き、同じようにレーセを構える。

 レーセの刃を迸らせれば、その構えは、剣道の基本的な構えと似ている。 

 曰く、最も基本的な構えだと。 

 レーセの剣術は、元々普通の刀剣から派生しているのだからと。

 この今構えている型を基本として、色々な型となる、と。 

 「それじゃ、打ち込んで!」

 「!」

 その構えから、マフィンは言ってきた。

 俺は言われたまま、両手で握り締めて、振り上げて、頭上へと打ち込む。

 さながら、剣道のそれ。もちろん、基本的な型だし。

 なお、その打ち込みにもやや躊躇いはある。

 マフィンを叩き切るんじゃないかってね。

 しかしそこはマフィン。

 レーセを翻しては、打ち込んできた刃を弾いた。

 弾かれたなら俺は、素早く切り替えて別方向から打ち込む。

 袈裟切りのようにしたり、水平に凪いだりと。

 マフィンは都度、レーセを回して払い落としてくる。

 「じゃあ、行くわよ!」

 「!」

 マフィンは言って、構えを変える。 

 片方の手を弓持ちのように。

 片方の、レーセを持つ手を矢のように引いた形。

 フェンリルが俺に見せた、あの構えと同じものだ。 

 それをする、ということに、察したなら俺は、攻撃速度を上げる。 

 先ほどのような速度ではなく俺は。

 およそ普通じゃ受け止められないだろうと。

 フェイント交じりに攻撃を繰り出した。 

 それをマフィンは、レーセを回して払っていく。

 たとえ、どこから来ようと、舞を踊るように払い除けていく。

 「……!」

 つい見とれてしまうが。

 マフィンが教えてくれたこれは、防御用の型だと。

 極めた者は、まともに相手しては、打ち負かせないということらしい。

 その通りにか、マフィンへの攻撃は打ち払われて。

 「……のっ!」

 俺は攻撃にさらなる動きを追加すべく、軽く鳴く。

 そうして地面を蹴れば、大きく跳躍して。

 それこそ、マフィンの頭上を飛び越えるほど高く。 

 空中で身を回転させて、遠心力伴い。

 両手で握るレーセに威力を載せて叩きつける。

 下手すれば、やっぱりマフィンを切りかねないや。 

 けれど大丈夫かな。

 「!!」 

 その一撃も、見事払う。パワーは俺より劣るものの、やはりそこは、技か。

 となると俺は、心底思うのは〝巧い〟と。感心と驚きに目を丸くした。

 「!……上手くなったわね。」

 「!」

 ただし、思うことはマフィンにもあるらしく。

 俺の動き見て、マフィンから感心をもらう。

 「ちゃんと練習しているのね、その型。おまけに、アレンジまで加えて。」

 「!」

 続けられて、それこそ練習していることを見抜いている。

 その通りに、俺がやった跳躍も、叩きつけるのも、レーセの型だ。

 最初のは、スフィアで身体能力を上げて、空中を跳躍して。

 平面的から立体的に攻撃を仕掛ける型。力を込めて斬ったのは、より攻撃的な型。

 それを合わせて打ち込んだから、感心もされるか。 

 もちろん、マフィンと打ち込む以外に、一人でも練習していたけれど。

 それはちゃんと剣術に現れているみたい。

 「やっぱり、あなたは特別ね。普通短期間にそこまでいけないわ。」

 「!……ありがとう。」 

 感心の次には、褒められる。

 マフィンは鍔迫り合いの中、そっと俺に笑みを向けた。

 言われると、俺はお礼を述べて、頷く。

 「!」

 言い終えた際に、マフィンはレーセを弾いて。 

 2人また離れる。

 「じゃあ、大和。次は私が攻めるから。受け止めてね!」

 「!……ああ。」

 離れたならマフィンは、交代すると。

 今度は俺が受ける番に。

 その言葉頷いて、俺はマフィンがしたみたいに、弓引くような型を構える。

 マフィンは、最初に見せた、エレガントな構えを見せて。

 ああ、ちなみに、あれも型の一つ。

 フェンシングのような、突き刺す攻撃がメインだけども。

 派手さはないが、精密に攻撃してくる。

 手首のスナップを強く聞かせて、変幻自在にできる、とか。

 まあ、だからマフィンは、それがしやすいように。

 柄が曲がったレーセを使っているのか。

 そうして、2人して相対する形にて、静寂ある。 

 「……っ!」

 「!」

 破ったのはマフィン。またも、小さな吐息を聞く。

 後悔か?違う。

 今度のは、行動の前の一呼吸。皮切りに、マフィンは刺突を繰り出してきた。

 フェイント混じる、変幻自在の刺突であり、見極めるのが困難。

 そんな攻撃であり、もちろん防御は容易ではない。 

 「……っ!」

 見て。

 なお、呑気に見惚れているわけではない。

 俺もまた、一息吐いてはレーセを振り回す。

 乱雑な動きか?

 マフィンのように、華麗な動きか?自信はないけれど。

 俺がやれる精一杯として、そう円を描くようにレーセを振る。

 レーセの軌道は円を描き、さながら、一瞬であっても盾を作り上げる。 

 バチリという、電撃の弾ける音と共に、マフィンの刺突が弾かれた。 

 ここにて、変幻自在と思われた刺突を、上手く払い除けたのだ。

 「!」

 が、たったの一撃だけだ。

 マフィンは弾かれたが、刃が弾かれただけ。

 バランスを崩したりとか、そういうのはなく、次の攻撃へ移っている。

 そも、マフィンの型自体、最小限の動きで相手を攻撃する仕様であるために。

 弾かれたとしても、すぐにまた、体勢を立て直せるようになっているし。

 そうだから、マフィンはすぐに刺突をこちらに向けてきて。

 先と同じく、変幻自在。

 「!」

 フェイントもさることながら、マフィンはなんと、レーセの刃を仕舞い。

 こちらの刃を空振りさせてくる。 

 空を切る最中に、またもレーセを迸らせて。

 その刃は、こちらの防御がない中であって迫りくる。

 俺は、素早く身を反転させて。

 その刃を回避して、また、追撃される前にと、その刃を弾いた。

 さながら動きは、舞を思わせると。

 俺は、しかし、俯瞰で見れない以上、どうなのかは分からないでいる。 

 「っ!」

 「!」

 マフィンは刃を止めて。

 感心な息を吐く。

 「上手くなったわね!」

 「!……あ、ありがとう。」

 言うなら、マフィンのは感心の言葉であり。

 俯瞰で見れないが、マフィンから見るなら俺の動きは、非常に良いということか。 

 「……全く。」

 「!……?」

 次には、呆れにも。何でまたと、つい首を傾げてしまう。

 「教えたのがこの間なのに、もうここまで。あなたって、ほんと、呆れてしまうぐらい上達するわね。……ウィザードって、やっぱり才能なのかしら?」

 「!……ええと、そ、そう?」

 それは、そう。

 俺の飲み込みが早いとして。

 この前、教えたはずなのに、もうできるようになるのを、複雑な表情で見ていた。 

 それこそ、ウィザードなる誉高き名誉をも添えると。 

 言われて、つい臆してしまうが。

 「……。」

 だが、今はもう、それ以上臆することもない、遠慮しない。 

 手にしているレーセに視線を。さらには、腕の部分に目をやれば。

 ブレスレットのような痣が、手首にはあった。

 ただの痣か?

 いいや違う。

 これは、俺が偶然付けてしまったものだが。

 大漁のスフィアのエネルギーを体内に取り込んで。

 循環、放出した際にできたみたい。

 マフィン曰く、スフィアを極めた者のみが手にできる、と。

 ついでに、これを持つ者こそ、〝ウィザード〟と呼ぶに相応しい。

 今俺の腕には、それがあるために、その誉、素直に聞き入れる。 

 それに、相応しいほどの活躍をすれば、もう、そうだね。

 「……まあ、これならこの型も極められるかしらね。」

 「!」 

 だが、褒め殺すだけではない。 

 マフィンはこれから、次なる型を教えると。

 俺が、それだけの成長を見せたのなら、ということか。 

 耳にして、俺はごくりと唾を飲み込んだ。

 そのために。

 マフィンは刃を仕舞って離れて。俺も同じようにして、離れて。

 そうなると、最初みたいな対峙になった。

 「!」

 離れたなら、また構えなおすか。

 マフィンはレーセを迸らせて。だが、普通の構えではない。

 最初、マフィンはレーセの刃をこちらに向けたなら、引き。

 入れ替わりに、レーセのない手をそっと出して、構えた。

 見たことのない動き。

 俺は、何が起こるか、ごくりと唾を飲み込んだ。

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