第10話 フローズンヨーグルト

ストリートの中程にある、フローズンヨーグルトの店。

キアラとマディソンのお気に入りの店だった。

学生御用達のショップには、所狭しと席が置かれ、奥にはメニューが設置されたカウンターがある。

ガラスケースの中には、種類豊富なトッピングが見せつけるように並べられていた。

「あ、電話。」

マディソンが、震える携帯電話を見て呟いた。

「 ちょっと注文してて。」

そう言い捨てて店の外に逃げてしまう。

仕方なく、キアラは二人分の注文を済ませ代金を立て替えた。


「お待たせしましたあ。」

能天気な店員の声で、カウンターへ向き直る。

店内の客はまだ一人もいなかった。

両手で冷えた商品を受け取って店を出る。

なんとか、外開きのドアは開いてくれた。

「はい。」

ちょうど話が終わったらしい親友の頬に氷のようなヨーグルトを当てる。

「ひゃああっ。」

飛び上がったマディソンは恨みがましい目を向けてきた。

「いくらだった?」

「十ドル。」

「高くない?いつもふたつで七ドルくらいでしょ?」

それもそのはず。キアラは宣言通りトッピングをすこぶる豪華にした。

自身のものだけ。

「なんかすごい差じゃない?」

「何が?」

「トッピング。」

「気のせいだって。」

本当は気のせいではない。が、そういうことにしておく。

マディソンは眉を顰めながらも、財布を取り出して代金を返した。

もちろん二人分。

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