第2話 未明
いつも同じ悪夢で目が覚める。
キアラは眉間の皺を寄せて、毛布から顔を出した。
気分は最悪。
着ていたシャツは汗ばみ、髪が頬に貼り付いている。
喉は枯れていた。
水を飲もうとキッチンに向かう。
冷蔵庫の中から、ミネラルウォーターを取り出した。
口をつけると、面白いくらいに喉は水を欲した。コクリコクリと喉が鳴る。
キッチンのカーテンを捲ると、まだ外は暗い。
リビングの時計の針はまだ朝をさしていなかった。
目が冴えた。
残念ながらもう一眠りとはいきそうにない。テレビでも見ようと、リモコンを探す。
そしてソファの上に見つけた。
丸まって眠る母親を。
「ママ、寝るならベッドに行って。」
そう耳元で囁いても、母の眠りは深かった。
仕方なく揺り起こす。
「ママ。ほらっ。ベッドに行くの。」
母親は声にならない呻き声をあげて、娘の肩にもたれた。
「ほら、歩いて。」
キアラはよろめきながら母を背負って歩く。
幸いにも狭い家だ。母の寝室まではなんとかなる。
微かな隙間に右足を突っ込んで、ドアをこじ開けた。
やっとのことで母親をベッドに横たえる。
死んでるみたい。
不意にそう思った。
母はいつもこの調子だ。明け方まで仕事に出て、その後は泥のように眠り続ける。食事さえとらない時もある。
ずっとこの調子だ。
父が死んでから。
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