第4話
なんと美しいのだろう。妖精ではないかと疑ってしまうほどの可愛らしいドレスを身にまとっている彼女に目を奪われてしまった。可愛すぎて思わず目を逸らしてしまった。
今日、上手く彼女をエスコート出来るだろうか。リーシアにみっともない所は見せられない。
彼女に馬車に乗ってもらい、私もその正面に身を下ろした。心なしかリーシアの頬がピンク色になっている気がする。いや、自惚れるな。リーシアが私にエスコートされたぐらいで赤くなるはずがない。こんなに可愛いリーシアだ。きっといろんな男性にアプローチされているだろう。そう思うと少し腹が立った。私がもっと早く婚約を申し込んでいたらと。
この婚約は元々父上に反対されていた。だか一度会っただけのリーシアの存在が私の中で大きくなりすぎたのだ。どうしても諦めきれなかった。父上に懇願し、婚約を承認するためいくつか条件を出された。
一つ目、騎士学校を主席で首席すること。
二つ目、父上の補佐を卒業後一年すること。
そして三つ目がこの二つを成し遂げるまで絶対にリーシアに会わないこと。それでも気持ちが変わらなかったら婚約を承認すると言われた。
最初の二つを達成するまでが長かった。リーシアに既に婚約者や思い人が出来ていたらと思うと気が気では無かった。リーシアにそのような相手がいないと聞いた時はどれほど安心したことか…。
それから父上の了承も経て無事婚約出来た。なかなか会いに行けずにいたが、まさかリーシアの方から会いにきてくれるとは。理由が理由だったけどな。でも本当の勝負はこれからと言うことを忘れてはダメだ。
窓から外の景色を眺めている彼女。綺麗なライトブラウン色の髪が風でなびいている。
◆◆◆
こ、ここは…。
行き先は知らされていなかったけど着いたところは最近、貴族令嬢の中でケーキがとても美味しいと話題のカフェだった。まさかルーク様がこのような可愛くて女性に人気がある場所に連れてきてくれるなんて思いもしなかったわ。それに実は私、甘いものには目がないのよね〜。前世でもポテトチップスよりチョコレートの方が好きだったし。
「この店は人気があり美味しいと聞いた。そなたが気にいるといいのだが。」
あ、喋り方戻ったし。
「私もここの店のケーキは一度食べて見たいと思っていました。連れてきてくださりありがとうこざいます。後、一つ気になっていたのですがお父様の前でだけ丁寧に話されているのは何か意味があるのでしょうか?」
「私も礼儀はわきまえてる。未来のお義父上には敬意を示すのは当たり前だ。」
こ、この人は自分が何言ってるかわかってるの⁈その真剣な表情は決してふざけていたり冗談を言っているようには見えなかった。こんな恥ずかしいセリフよく言えるわね。昨日、婚約破棄したいと言ったばかりなのに。
そういえば昨日ルーク様にキスされたのよね。ルーク様の唇が不意に目に入り、あの時のことを思い出してしまった。
私の視線に気づきルーク様が私の方を見た。でも私はすぐ目を逸らしてしまった。ルーク様の青色の綺麗な瞳を見るとドキドキして頭が真っ白になってしまった。
ついさっきまでは何ともなかったのに…。
私、もしかしてルーク様にときめいてしまったの…?
何故か次期公爵様に溺愛されています パッチ @Patti
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。何故か次期公爵様に溺愛されていますの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます