第3話

ルーク様が私のことを…。

何か裏があるのかしら?でも好きでもない人にキ、キスなんてしないわよね…。

 もう‼︎

一体、ルーク様は何を考えているの!!

それに一度会っただけなのにどうしてここまでしてくるの?

私は覚えていないのに。この人は信じてもいいのかしら。少なくとも前世で私を騙したあの男みたいな悪い奴ではない気がする。でもまだ信用できないわ。不本意にもあのキスにときめいてしまった。前世で男の人の免疫がない私にあんな不意打ち反則よ反則‼︎あんなことイケメンにされてドキドキしない方がおかしいっつーの‼︎

◆◆◆

「おはよう、リーシア。よく眠れたかい??」

 昨日あれこれ考えいていつの間にか眠ってしまってた。目が覚めるともう11時になっていた。もうお昼なので昼食を食べようとダイニングルームに向かうと思いがけない人物がお父様と楽しそうにお茶をしていた。 

「る、ルーク様?何故こちらにいらっしゃるのですか⁈」 

 昨日の私の態度にケチつけに来たのかしら?

 はっ!私ったら寝巻きに頭ボサボサじゃない!

 なんという失態…

 着替えてこなくては‼︎

 急いで部屋を出て行こうとすると後ろから止められた。

 「そのままの格好で大丈夫ですよ。いきなり訪ねた私が悪いのですから。今日は貴方をデートに誘いにきました。」

 え?デート⁈それにその喋り方は何‼︎お父様の前でだけ猫かぶるって言うのね!!やっぱり油断できないわ。この人の考えていることが全然わからない。 

「リーシア、行ってきたらどうだ?お互い知るいい機会だと思うぞ。」

 この件にお父様は口出ししないでっ!

 「リーシア、貴方は私のことを何も知らない。婚約破棄はもうちょっと私のことを知ってからにしては頂けないだろうか?」

 ん、もう!!

 次期公爵様の頼みなんて断れる訳ないじゃない‼︎

 「分かりました。準備をして参りますのでこちらでお待ちになってください。」

 私にとってもルーク様の本性を見抜くいいチャンスよね!

◆◆◆

「お待たせしてすみません。」

 私の薄茶色に合う黄緑色の派手すぎず地味すぎずのドレスを着ていざルーク様の元へ向かった。ルーク様の横で歩くに恥じないドレスを選ぶのは大変だな。 

 公爵家の馬車が家の前に止まっていてルーク様が待っている。待たせるのは悪いので少し小走りで行くと何故か顔を背けられてしまった。

 「ルーク様?どうされたのですか?」

振り返ると何でもないような顔をして馬車の扉を開けて私の手をそっと掴んだ。

 「何でもありません。どうぞレディー。」

 ドキッ

 いきなり女の子扱いされるのは照れるわね。前世で全然男性の免疫無かったし。顔赤くなってないかしら…。出来るだけ顔が見られないようにして馬車に乗った。 

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