第34話 侵攻してくるようです

 帝国の第二皇子派に接触してから一月たったある日、国王陛下、王妃殿下、レオン様とお茶をしていると叔父様が慌てて、国王陛下のもとにやってきました。

 ラルフとマリーは、今日は、二人で、仲のいい令嬢の屋敷でのお茶会に参加するため一緒に出掛けておりますわ。


「国王陛下、大変でございます。」


「そんなに慌ててどうした。 宰相。」


 国王陛下も叔父様の慌てようにいつもは、名前で呼んでいるのに役職名で呼ばれましたね。


「はい。帝国の第二皇子派から情報提供がありました。アルト男爵が先週、皇帝、皇太子と会い、皇帝も2ヶ月半後に侵攻を決定したみたいです。」


「なんじゃと、やはりそうなったか。第二皇子派は、どうするつもりでいるか言ってきているのか。」


「はい。表向きは、皇帝・皇太子派が古参の上級貴族が多いことから支持が多く、優勢のように見せていますが、裏で動き、第二皇子派が支持を増やし、今では、圧倒的に第二皇子派が優勢のようです。」

「皇帝・皇太子派を装いながら情報収集をしたり、気づかれないように第二皇子派の貴族や騎士、兵士を増やしているそうです。騎士、兵士は、皇帝・皇太子派に従っていますが、ほぼ第二皇子派らしいです。宰相も見るからに皇帝・皇太子派なのですが、実は第二皇子派とのことです。」

「古参の上級貴族以外と古参の上級貴族家の跡取りを中心に作戦を考え、戦争は、帝国と王国の国境付近でやり、皇帝、皇太子、貴族たちも戦争に出陣するみたいで、陣形を皇帝、皇太子、皇帝・皇太子派の貴族を囲むような感じにして、開戦直後に捕える予定とのことです。

 我々には、アルト男爵たちを捕えて欲しいそうです。」


 開戦直後に皇帝・皇太子たちを捕えるのか。ほとんどの騎士や兵士が第二皇子派なら皇帝・皇太子側は、貴族当主とわずかな騎士や兵士だけでしょうからほとんど被害を出さずに実行可能でしょうね。


「そうか。私も出陣するかな。アルト男爵たちは、どう動くつもりでいるのだ。」


 国王陛下が戦争に参加されるのですか。大丈夫でしょうか。


「はい。アルト男爵たちは、国王陛下に戦争に参加するように進言して、戦争に参加させ、自分達の陣を国王陛下の近くに配置し、開戦直後に国王陛下と騎士団長の首をとるつもりでいるようです。

皇帝は、戦争に勝ち王国が帝国の領土となったら、大きな領土を与え優遇すると言ったようですが、アルト男爵たちは、捨て駒のようで、皇太子は、劣勢なら脅して爆弾を巻かせ特攻させることまで考えているようです。」

「もし、優勢のまま勝って王国が帝国のものになった直後に処分するみたいですね。皇帝たちもアルト男爵たちの無能さは、把握しているのでしょうね。」


「そうか。ランとキーンの養子縁組を速やかに行え。私の陣を中心に置き、奴らの陣が私の陣を囲むような配置にし、その周りを私たちの派閥の貴族の陣で囲む陣形で行く。騎士団長は、我の近くにいてもらうか、前線に配置するか。」


「騎士団長の性格からして、最前線がいいかと、こちらに攻めてきた兵を倒していただきましょう。アルト男爵たちもその配下の兵も大したことはないので、近衛騎士で対処可能でしょう。」


「そうだな。では、そのように第二皇子派に伝えてくれ。」


「かしこまりました。」


 2ヶ月半後には、戦争ですか。まあ、どちらの不穏分子も大したことがないみたいなので、どちらも大した被害を出さずに解決しそうですね。

 今まで、続いた帝国の敵対関係も同盟関係となり、長年続いたので、すぐには解消されないでしょうが、徐々にでも解消されていけばいいですわね。

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